第492話ボッチゴブリン
アインが自分の席に座ってから少しして、大会は開催された。
まず、今回の大会では、参加者は少ないが、その分、初めての大会ということで、観客は多かった。
そして、選手たちに関しても、初めてのダンジョンに心を躍らせながら中に入っていった。
「さて、どこまで行けるかな。」
アインとしては、このダンジョンを知っているので、このダンジョンの難しさも知っている。
今回の大会に関しては、一番深くまで行けたものが勝者となっているが、それでも、自分のダンジョンがどこまで攻略されるかは気になるものだ。
それに、このダンジョンに関しては、階層も多いほうなので、そんなに簡単にはクリアさせるつもりはなかった。
そんなことを考えている間にも、挑戦者たちはどんどんとダンジョンを進んでいた。
今、先頭は2階層の終盤に居り、最後尾も1回はもう終わるというところだった。
現状では、まだ全く脱落者が出ていない。
一応、戦闘はすでにもう行われている。
しかし、その相手というのが、どこの草むらにもいそうなレベルのモンスターだった。
しかし、それでもモンスターとの試合に関しては、会場のほうは盛り上がった。
まさか負けるはずがないだろうということを頭ではわかっていても、自分の金を選手にかけているので、万が一が起きてしまったらと考えると、興奮してくるのだ。
「まぁ、成功しているな。」
このダンジョンは、5階層ごとにレベルがどんどん上がっていく。
今は、まだ2階層、3階層に入り沿うくらいの場所なので、まだまだ選手たちも安全にダンジョン攻略ができているが、6階層からは、油断しきっていると、簡単に脱落してしまうレベルになる。
(そんなことを言っても、しばらくは暇だな。)
実際、アインの言った通り、アイン自身は何も賭けをしていないので、今は強い冒険者が、弱いモンスターを狩っているという、一般的なダンジョン攻略を見ている気分なのだ。
しかし、そんなダンジョン攻略も少しすれば、雲行きは怪しくなってくる。
多くの冒険者が、6・7階層に入った時にそれは発生した。
「おやおや、私の前に現れてしまった自分の運命を呪いなさい。」
「お?次の相手か?」
「みんな!気を引き締めていこう!」
「斬るわよ。」
参加者たちの各パーティーの前に、赤色のゴブリンが現れた。
このモンスターに関しては、アインが自分で作ったモンスターで、すごく強いわけではない。
しかし、今、各パーティーに関しては、別々の所にいる。
このダンジョンは下に行けば行くほど、一階層の大きさが大きくなっているので、他のパーティーとは別行動をするということは珍しくないだろう。
しかし、同時に一斉に全パーティーの前に現れたこいつに関しては、完璧に運営側が用意したモンスターだと、観客たちは感じることができた。
このモンスターは、ボッチゴブリン、一人になればなるほど強いというゴブリンだ。
そして、このゴブリン対、参加者たちのバトルが始まるのだった。
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