第476話海外視察

開発といっても、そんなに簡単にできるものでもないし、それに、そんなに短時間でできるようなものでもない。


だからこそ、一旦本国のほうに帰ってくることにした。


「さて、何をしようか。」


現状、この国で困っていることはとくにはない。


皆普通に生活をして、普通に仕事をしている。


それに、そんなに犯罪率も高くないし、国としても成長傾向にある。


市民からの不満というのもそこまでなく、会った不満も基本的には解決ができるようなものだったので、早めに解決をして、火種は早く消すようにしていた。


それもこれも、君主制が成り立っているからなのだが、国全体を見ても、しばらくの間は君主制が崩れることはなさそうだった。


「本当に何をしようか。」


この国では、一応貴族制度を取り入れているが、その貴族にした者たちは、優秀な元平民だ。


それに、王城で働いている人も、基本的には実力で雇っている者たち。


つまり、アインは特に何もしなくても、官僚たちが何とかしてくるのだ。


しかし、それが今のアインを困らせていた。


(ここまで暇になってしまうとは…)


現状、アインには特に趣味というものがない。


前世だったら、テレビやネット動画などを見て楽しんでいたが、神になった影響なのか、そういうものに興味がなくなってしまった。


それに、この国はほかの国に比べて、技術の進歩が速いといっても、まだテレビができてから、数年しかたっていない。


つまり、まだそこまで面白いテレビもできていないのだ。


(海外視察でもするか?)


本来、このようなことは、皇帝本人がやるようなことではないのだが、それでも暇すぎるし、それに、他のものは基本的に忙しいものが多い。


官僚たちは確かに優秀で、仕事も早めに終わらせてくれるが、それでも仕事量は膨大で、まだ冶金なんかが生まれていないこの時代では、しっかりと帰らせて休憩させなくてはいけない。


現代日本人は、確実に昔の人たちよりも夜には強いだろう。


しかし、ここの者たちはまだ、夜には弱く、夜までサービスがやっていないと怒るといったような考えも持っていないのだ。


(それじゃあ、行くか。)


一瞬、婚約者たちのことも考えたが、今回に関しては、視察ということで、娯楽というよりは、政治的な要素のほうが強い。


基本、アインも国を治めるものとして行動したいので、各国に行ったとしても、スイーツやなどに行くかわからない。


それに、そもそもスイーツ屋があるかもわからなかったのだ。


(それじゃあ、行くか。)


アインは、近くにいた人に、自分が少しの間外出することを伝えて、準備を整えてから、出発した。


とりあえずは、海外という意味では当てはまるので、植民地のほうに向かった。


その植民地は、大陸全土を植民化させたところの中で、一番発展しているところと、一番発展していないところに行くことにした。


とりあえず、この大陸の中で、一番発展しているところに行って、この大陸の上限を見ることにしたのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る