第428話黒色の魔力
な、何故ここに貴族がいる?
これが彼が心の中で思った感想だった。
しかし、出来るだけ表情には出ないように努力をしていた。
まだ、何故ここにいるのか分かっていない。
だからこそ、自分の中で、仮説を立ててから、話しかけたかったのだった。
「どうかしましたか?」
近くの村人にそう話しかけられて、自分が考え込んでしまっていたことに気がついた彼は、貴族のことについてを聞いてみることにした。
「ちなみに、あの隅っこに座っている、もう1人の客人というのは、どういう人物なのだ?」
「分かりませんが、結構豊かな家のものなのではないでしょうか?
仕草や言葉遣いにその面影が感じられますので。」
実際、村人たちも、彼が高貴な生まれではないかということは疑いをかけていた。
しかし、今では特に何もしていないように感じたので、放置をしていたのだった。
「そうか…私は、分隊長として、怪しいものがいたら、即報告をしないといけないのだがな…」
そのような命令があったので、彼は国のほうに連絡を取るか悩んでいた。
(まぁ、今日の夜当たりにでも連絡を取れば良いか。
それに、今は彼は何もしていないようだし。)
彼が、王族への暴言などで、ここにいることを知らない彼は、今のところ、彼は貴族だが、何かしらの事情で旅をしている程度にしか思っていなかった。
(しかし、全ての装備が伝説級か…)
そう、装備に何かしらの違和感を感じていた。
その装備は、今の技術では作れないものばかりで、今では、伝説級の武器など売ったら、国のほうがその店に直接交渉をしに行き、そして、買い取っていくだろう。
それくらい、伝説級の装備というのは、1つで戦況を大きく変えるものだった。
(私の剣も伝説級ではあるが、さすがに全ての装備が、伝説級の者とは戦ったことが無いな。)
そもそも、伝説旧装備に関しては、その殆どが武器である。
だからこそ、各国の総隊長や、分隊長が持っている可能性はあるが、それでも、武器であり、他の装備では基本的に伝説級の装備なんてつけている人はいなかった。
そして、彼が感じている違和感は、彼の目にあった。
(若干黒いんだよな~。)
彼は、物の魔力を色にして、見ることが出来る。
そして、今、伝説級の装備からは、少しだけ黒い魔力が出ていた。
黒色の魔力の宿った装備というのは、基本的に、のろいのかかっている装備が多く、そして、基本的に、はずすには特殊な手段をとらないと、装備を取れないことが多い。
しかし、この装備に関しては、そうでもなかった。
別に洗脳されている訳でもないし、それに体が操られている訳でもない。
それに、はずせない訳でもなしし、のろわれてもいない。
しかし、黒色の魔力がついているのには、それ相応の理由がある。
これに関しては、もう少し後になれば分かるだろう。
(さて、それでは、そろそろ宴会も終わるし、報告をするか…)
そして、分隊長は、自分のかばんの中から、アインが作った、魔力通信機を出した。
そして、王都の緊急対処センターに連絡をしたのだった。
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