第370話アイン様の本気

そして、テストの日が終わり、全てのテストがアインの元に送られてきた。


「アイン様、本当にこの数のテストを全て、1人で見るのですか?」


「ああ、それに今回は神の力も全開でやっていくから大丈夫だよ。」


今回、テストを受けたのは約10億人。


この数は基本的に長生きがしにくいこの世界では、異常な国民の数だった。


しかも、この10億人というのは、もう、仕事に就けない老人や、テストを受けても良い結果が残らないだろう、子供を除いた数だったのだった。


(さて、本気を出すか…)


アインは1つの呪文を唱えた。


すると、アインの目の前に置かれていたテストの1部が光り始めたのだった。


(よし、ちゃんと紙に仕込んであった魔法は発動しているな。)


アインが今回、紙に仕込んだ魔法は、テストの回答であっているものだけを光らせるというものだったのだ。


この魔法は、1つ1つの紙に、知能を少しだけ与えなくてはいけないので、神でないとできない技術だったのだ。


しかし、そんな魔法があるんだったら、テスト中に生徒がその魔法を発動させて、答えを知ってしまう可能性もあったので、アインは自分しか知らない呪文を言うことで、光るように設定しておいたのだった。


その結果、アインの前にある紙の束と、アイテムボックス内に保管してある、紙が全て光っているのだった。


(ここからも大変な作業だけど、やるしかないか。)


いくら、どの問題があっているのかわかったとしても、10億枚の紙を見るだけで日が暮れるどころか、数日は過ぎてしまう。

なので、アインは他にも魔法を使っていき、どんどん採点をしていった。


ここで、アインが今回の採点のときに使った魔法を紹介しよう。


1つ目は千里眼…これは本来、遠くのものを見るときに使うものなのだが、今回のアインは違う使い方をしていた。


それは、紙の隙間を見るためだった。


正直、この枚数を1枚1枚めくって確認しているような時間は無かったので、今回、アインは、紙と紙の間を千里眼で見て、そこからテストの点数をつけていくのだった。


次に、並列思考…これに関しては、頭の中で多くの思考を持つものだった。

普通の人間が使えば、脳が限界に達して、廃人になってしまうが、アインは普通の人ではないので、大丈夫だったのだ。


最後に、分身…アインの分身を作る。

これだけ。


これによって、全ての分身アインも並列思考を使って、千里眼によって確認をしているので、進むペースはとても速く、本来、1ヶ月くらいかかりそうな採点も、1日で終わりだそうだった。


その後も、アインは黙々と採点を続けて行き、食事もとらずに1日ですべての作業を終了させたのだった。


そして…


「あ~~~~。疲れた。

まぁ、良いや。」


「お疲れ様です。それで、大体は決まりましたか?」


「まぁね。それに、魔国は大きいから、貴族も200人くらい作っても良いと思っているし。」


「確かに、領土から考えれば、別におかしくはない人数ですね。」


「そうだね。それじゃ、今回は200人にするか。

それじゃあ、今からリストを作り始めるね。」


そして、アインはただでさえ、1日作業をしていたのに、まだまだ作業を続けるのだった。


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