第355話動き出す戦場

隊長が発動させた魔法具の効果によって、隊の周りは、大きな魔法の壁で覆われた。


「よし、これで一旦休めるな。

手の空いているものは、怪我をしたものの治療に当たれ!」


隊長の命令によって、隊は一旦安全になったように思われた。


しかし…


「隊長!魔法壁を張ったのに、カマイタチが収まりません!」


そう、カマイタチは魔法壁の中でも全然起きていたのだった。


「な、何故だ…魔法壁はカマイタチのような、少しでも攻撃性能があったら、自然のものでも防いでくれるのに…」


そう、本来魔法壁は使用者に対して、ダメージが入るようなものは基本的に全てをカットするのだった。


しかし、それがないということは…


???「一番良い状態じゃないか。楽になったぜ。」


例の声の正体は魔法壁を張られた後、すぐにカマイタチの強さを上げた。


「まさか…この中にいるのか!このカマイタチを発生させている奴が!?」


隊長も、そのことには気がついたが、それでも、多くの隊員を指揮する彼には、誰が犯人まではわからなかった。


その後も、カマイタチの正体は分からず、魔法壁内で、カマイタチが炸裂していった。


「隊長!この魔法壁解けないんですか!?」


「無理だ!この魔法壁は本来、休憩用に作られたものなので、発動から、一定の時間は解除できないようになっているんだ!」


そんな欠点がいまさら見つかったが、それでも、現状では、そんな事を気にしている時間は無かった。


そして、兵が何とか防御に徹して、ある程度疲弊をしてきたとき、魔法壁内で大きな出来事が起きた。


「隊長…」


「何だ?見ない顔だな。大丈夫か?カマイタチの被害にはあっていないのか?」


「ええ、大丈夫です。」


「そうか…それでは、持ち場に戻ることだ…

しばらくは動けないだろうからな。」


「そうですか…

ありがとうございます。







いえ、ありがとうございました。」


そして、隊長に近づいていた兵はいきなり大振りの剣を取り出し、その後、隊長の胸を貫いた。


「は?…は?」


隊長は、一瞬何が起きたのか分からなかったが、それでも、体が感じる痛みによって、現実を見させられた。


「お前…どういうことだ…」


「どういうことも何も、このカマイタチの正体だといえば一番理解が早いでしょうか?」


「まさか…」


隊長は、この時点で他の兵にこの事を伝えようとしたが、なぞの兵は隊長ののどを潰した。


「困るのですよ。これでもアサシン。

静かにやりたいのです。」


彼は大振りの剣を持っていて、ばれそうだったが、隊長は他の兵とは一定の距離をとって、全体を俯瞰していたので、他の兵からは気づいてもらえなかったのだった。


「安心してください。

彼らもすぐに貴方の元に送ってあげますよ…」


そんな言葉を聴きながら、隊長の意識は闇の中に消えていったのだった…


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る