第275話第一印象


そして、アインは王都を散歩していた。


「なんか…懐かしいな。」


行きは用事があって、あまりゆっくり見られなかったが、久しぶりに見てみると、どこか懐かしいものを感じるのだった。


「さて…行くか。」


そして、アインは一回帰ってきた。


「お帰りなさいませ。」


「ただいま。」


「どのような話でした?」


「ああ、世界会議についてと、考え方だよ。」


「なるほど…確かに世界会議について、知らないことも多かったですし、良かったですね。」


「うん。」


そして、アインは完全にやることが無くなってしまった。


「やることが無い…」


「そうですね。まぁ、目の前の問題はもう少し先ですから。」


「そうなんだよね~。」


「まぁ、他の国はこんなに落ち着いていないでしょうけど…」


「何で?」


「世界会議の場で、なめられたら終わります。第一印象で他の国になめられた国は、発言権が弱くなりますから。」


「確かにそうだね。それに、他の国が自分の国より強いのかも分からないし。」


「ええ、参加できる国は当日まで公開されないですから、先に国名で調べて、どれくらい強いのかを調べることが出来ないんですよ。」


「そうだね。」


「まぁ、話は戻しますけど、第一印象で発言権が決まる。そのため、各国の上層部は、出来るだけ最初に全ての力を入れるのです。」


「なるほどね…それじゃあ、今の僕って結構危ない?」


「大丈夫です。大体、各国の王が第一印象を大きく見せるために使う手段として、服装と土産があります。」


「ああ、確かにその2つは手っ取り早いね。」


「ええ、そのため、アイン様にはその、服装のほうはがんばってもらいたいのですよ。」


「何をすれば良いの?」


「簡単に言うと、神気を出して、光っていてください。後光のように見えるくらいの。」


「え?それだと、変な人っぽくない?」


「大丈夫です。変な人という印象よりも、すごい人のほうが先に来ますから。」


「どうして?」


「我々は、アイン様の発明品によって、光が身近なものになっていますが、他の国では、光といえば光魔法か、火なのです。とはいえ、光魔法は常に魔力を消費しますので、基本的には街灯などは火で光をつけていて、室内は高いですが、火を消さずに、他の場所に飛んでいかないようにする街灯の先端が売られていますので、それを使うことが多いです。」


「つまり、光を常に出し続けるには、火か光魔法だけだけど、明らかに光魔法に見せれば良いの?」


「ええ、後光くらいの大きな光魔法はなかなか出来ませんから。ですが、強くしすぎないでくださいよ。」


「分かっているよ。多少、体の回りに常に光が出ているように見せるから。」


「ええ、それでお願いします。土産は今考えています。」


「そうだね~。まぁ、手っ取り早いけど、汚いものは考えられるんだけど…」


「何でしょうか?」


「ん?金。」


「…確かに手っ取り早いですね。」


「でも、やらないほうが良いかな?」


「良いんじゃないですか?我々が出した意見と、アイン様の意見では、アイン様の意見のほうが強いですから。」


「え?そんな言い方する?」


「言い方というか、事実です。軍も、いろいろ考えて作戦や教育をしていますが、アイン様の言葉1つで教育方針を変えることも出来るのです。」


「そうだったんだ…やらないけど。まぁ、良いや、それじゃあ、額を考えようか。」


こうして、アインの汚いけど、便利な土産が決まった。


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