第161話勇者様へ


「天使だと?そんな者が存在するわけが無いだろ。」


「いいえ、存在します。それにあなたたちもさっき言っていたじゃないですか、その剣とかは天使によって作られたものだと。」


「それは王にこの剣をもらうときにこの剣は天使によって作られたものだと教えてもらっただけだ。」


「それではその剣は本当に天使によって作られたのでしょうね。その剣はちゃんと神聖属性の魔力をまとっていましたよ。」


「本当に天使がいるのか…待てよ、それなら何でその天使の剣である、俺の剣が折れるんだよ。」


「聞いていませんでしたか?私は熾天使という天使です。この熾天使という階級は天使の中で最も高く、そんな人間なんかに剣を与えるような天使とは格が違うのです。」


「天使にも階級はあるのか…しかしな。今回は相手が悪かったな。俺たちは神に祝福された勇者だ。天使に負けるわけが無い。」


「本当にそう思っているのですか?」


「何だよ。違うって言うのか?」


「はぁ~。確かにあなたたちはどこの神かは知りませんが、実際に神に祝福されているのでしょう。しかし、どこの神かも分からないような力の弱い神と、全宇宙のトップに君臨する神に作られた私とではどちらが強いか分かりますよね。」


「ああ、分かるぜ。それは俺たち勇者だな。」


「…なんでそう思ったのかを聞かせてもらえますか?」


「だって、お前は作られただけ、そして俺たちは祝福され、なおかつこの世界に必要だと思って召喚された勇者だ、俺たちにはこの世界の人間の希望が詰まっているんだよ。」


「本気でそう思っているのでしたら、あなたたちの頭の中はお花畑のようですね。」


「何だと!?けんかを売っているのか?」


「ええ、売っていますよ。どうぞかかってきてください。」


「それじゃあ、行かせてもらうぜ。どうやらお前には天使の剣は効かないらしいからな。」


そういうと勇者たちは魔法の力をまとった武器で攻めてきた。


「この剣ならその天使の階級って言うのも無いだろ。」


「馬鹿なんですか?あなたたちは。」


そう言うとエリに届く前に今度は折れも、へこみも、跳ね返りもせず、一瞬で塵と化した。


「な、何で!?」


「なんでもなにも、天使の武器が効かなかった私に、そんなどこの人間が作ったかもわからないような剣が通用するわけが無いじゃないですか。」


「ちっ、一回帰るぞ。武器の相性が悪すぎる。」


「あれ~?もう帰っちゃうのですか?あんなに俺たちは勝てるって言っていたのに。」


「ああ、しかしな。俺たちはもう一回お前に挑むから待っていろよ。」


「転移魔法発動。」


しかし、転移魔法は発動しなかった。


「おい、何をやっている。早く発動しろ。」


「転移魔法発動…なんでだ発動しない。」


「当たり前じゃないですか。あれだけ私のことを罵倒したのですから、少しくらい痛い目にあってもらいますよ。」


そしてエリは攻撃を開始した。


まず、並列攻撃で、全員の左腕を切り飛ばし、その後全員の喉を潰して行った。


「な、なにをす、うっ。」


「何で喉を、うげっ。」


そしてとうとう全員の喉を潰した。


「んんんん、んんん~。」


「何を言っているのかは分かりませんが、とりあえず手紙と一緒に王城あたりにでも送っておきましょうか。


そしてエリは一枚の手紙を書いた。


【勇者どもへ。


今回、あなたたちのお仲間に怪我をさせたのは私です。正直に申しまして弱すぎます。雑魚です。王様たちもそんな雑魚にかまっていないほうがいいのではないでしょうか?

今回、この手紙と一緒にお仲間の体を送ったのはもう一度来るといっていたからです。それに、正直に申しまして、勇者全員でかかってこられたら、私でも対処ができないので、今回は一回送り返させてもらいます。

ぜひ、復讐でも何でもしてもらって良いですよ。


親愛なるダンジョンマスターの部下より。】


「よし、これで良いでしょう。正直勇者全員でかかってきても楽勝ですが、それでは来ないでしょうし…

それではまた今度お会いしましょう。」


エリがそう言うと勇者と手紙を転移させた。


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