第110話街散策の約束


そして次の日になった。


「アイン君、迎えに来たよ。」


「あれ?セシリアが何で男子寮にいるの?」


この学校は男子寮と女子寮が分かれているので、男子寮のアインの部屋の前にセシリアがいるのはおかしかったのだ。


「それはゼアル子爵さんに男子寮に入っていい許可をもらってきたからだよ。」


「何でそんな許可が出たんだよ。」


「それはね。ゼアル子爵って私のお父さんに頭が上がらないの。だから娘である私にも優しいんだ。」


「だからって男子寮に女子を入れちゃだめだろ。」


「まぁ、そういうことだから迎えに来たんだ。」


「ありがたいけど、僕以外にも男子はいるんだからできるだけ入らないほうがいいんじゃない?」


「分かったわ。じゃあ男子寮と女子寮の間にある中庭で待っているわ。」


そういってセシリアは出て行った。


「ふ~びっくりした。それじゃあ僕も準備を始めようかね。」


そしてアインは学校の準備をして、中庭に向かっていった。


「あ、やっと来た。」


中庭に行くとすでに3人が待っていた。


「あ、待たせちゃった?」


「そこまで待っていないから大丈夫だよ。それにしてもセシリアが勝手に部屋に行っていたなんて知らなかったわ。」


「良かった。それじゃあ行こうか。」


そしてアインたちは教室に向かっていった。


その途中で…


「そういえば君たちとはほとんど学科が一緒だね。」


「そうね。貴族は大体内政と貴族科を取るからね。」


「そういう意味では冒険科を選んでいるアイン君は珍しいのですよ。」


「そうだろうね。貴族ってあんまり戦わないからね。」


「アイン君は貴族の中で珍しい武道派貴族だからね。」


やっぱり僕って貴族の中でも珍しいのか…


「それにしても学科が一緒だからずっと一緒にいられるね。」


「そうね。あ、そろそろ教室に着くよ。」


教室の中に入ると、すでに結構の生徒が来ていた。


「もう皆来ているのか。」


「アイン君て結構おきるの遅いほうなんだよ。」


「そうなんだ。それじゃあ遅刻しないように気をつけなきゃ。」


「大丈夫よ。アイン君は私が起こしに行くから。」


すでにセシリアの頭の中には今日の朝のアインの注意が入っていないらしい。


そして先生が入ってきた。


「よし、皆いるな?今日は1時間目が貴族科、2時間目が商売科、3時間目が冒険科、4時間目が錬金科、5時間目が内政科だ。」


「先生、自分の学科がないときは何をすればいいのですか?」


「ああ、それはこの学校の図書館に行ってもいいし、この街を散策してもいい。」


「分かりました。」


「それでは1時間目は40分後から開始だ。それまで各自準備をするように。」


そう言って先生は出て行った。


「アイン君。2,4時間目って空いているでしょ。何をする?」


「何でもいいよ。」


「アイン。図書室にでも行く?」


「リリス。君って本が好きだったっけ?」


「いや、好きじゃないけど、街に行くのって緊張するじゃない。」


「緊張しているんだ…それなら僕が案内するよ。」


「ほんと!この街のことよく分かっていなかったからよかったわ。」

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