第100話兵の説得と次の管理者決定


そしてアインは兵の説得に向かった。


「しかし、アイン様。今は兵を魔法で止めてありますが、どうやって説得をするんですか?」


「それは今から魔法をかけなおして、一部の兵だけを動かす。」


「一部の兵とは?宰相側についている兵を復活させてしまうとややこしいことになるのでは?」


「それは大丈夫。この国は宰相にとって都合のいい兵と宰相にとって都合の悪い兵で兵舎がちがう場所にあるから。」


「つまり宰相にとって都合の悪いほうの兵だけを復活させるのですね。」


「そういうこと。」


そういってアインはもう一回魔法をかけなおした。


「これでもう宰相にとって都合の悪い兵たちは復活していると思うよ。」


「それでは向かいましょう。」


アインたちは宰相にとって都合の悪い兵のいる宿舎に向かった。


「ここですか…」


「うん。明らかに設備が悪いね。」


「ちなみにここの兵は強いのですか?」


「強いよ。だって強い人に限ってちゃんとしているから、強い人は宰相にとって都合が悪いんだ。」


「しかし、それならここの人たちは何で宰相たちを倒す気が起きないのでしょうか?」


「おきているとは思うけど、それができないようにしてあるんだ。」


「例えば?」


「例えば普段は武器を持たせていなかったり、食事も十分に与えないで戦う気力がなくなるようにしているんだ。」


「自分に都合の悪い人には厳しいですね。」


「確かにね、それなのに前の戦争では戦場にかり出されていたし。」


「それはこの国が負けることは当然の結果でしたね。」


「だからこそ僕の説得がしやすいんだけどね。それじゃあ行こうか。」


「はい。」


そしてアインたちは兵舎の中に入っていった。


「なんか空気がよどんでいますね。」


「そりゃぜんぜん食料ももらえずにいるからね。とりあえず偉い人と話すか。」


そしてアインは近くにいた兵に話しかけた。


「君たちの隊長はいるかい?」


「君たちは誰なんだ?まぁこんな兵舎にやってくるなんて珍しい人だけど。」


「君たちにとある提案があってここに来たんだ。だからここの一番偉い人に会いたいんだ。」


「分かったよ。隊長を呼んでくるよ。」


そして重い足取りでその兵が奥に向かっていってしばらくすると隊長らしき人がやってきた。


「今回は何用ですか?」


「僕は他の国で貴族をやっている者なんだけど、ここの国の宰相がおかしいと思ったからみんなを救い出そうとがんばっているんだ。」


「他の国の貴族様でしたか。しかし我々を助け出してくれるとは具体的に何をしてもらえるんですか?」


そしてアインは他の街で話したことを言った。


「食料の提供はありがたいです。正直我々ももう限界でしたから。」


「それでもやってもらいたいことがあるんだけど…」


「何ですか?」


「それは僕の兵と協力してもらって、宰相についている兵と宰相を倒してもらいたいんだ。」


「我々にですか?我々は宰相によって武器を取り上げられているので戦えないのですよ。」


「そこは大丈夫。僕の領地で作っている武器を君たち渡すから。」


「武器までいただけるのですか!?そこまでしていただくと悪い気がしてくるのですが。」


「そこまで気にしなくていいよ。僕の善意で言っているだけだから。」


「それでは甘えさせていただきます。」


「もしも今回のことが成功したら君をここの管理人にするよ。」


「本当ですか!?しかし私なんかでいいのでしょうか?」


「君だからいいんだよ。だって君は宰相のようなことをしたら下の者がどんな苦しいことになるのか分かるでしょ。」


「はい。今私が苦しい環境ですから。」


「そういう下の者の気持ちが分かる人のほうがいいんだよ。」


「分かりました。その重役やらせていただきます。」


そしてアインは兵舎に大量の武器と食料を転移魔法で置いていって一回帰っていった。


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