こうして俺の脳内をちんぽが支配した

池田あきふみ

プロローグ.エピソードオブちんぽ


 私はちんぽだった。


 そう

 真っ直ぐなちんぽ。


 右曲がりでも左曲がりでもなく、上向きでも下向きでもない

 真っ直ぐなちんぽだった。


 人は私の事を変態だとか、セクハラだとか言ってくる。

 しかし違う。私はただ真っ直ぐなちんぽなんだ。


 まん子に向かってただ真っ直ぐ進むちんぽなんだ


 他の邪悪なちんこ達は使命をほっぽって寄り道したり、浮気したりする。

 だが私はちがう。まん子に向かって全速力。常に最短ルートを駆け抜ける。

 決して寄り道したりはしないんだ。

 ただ真っ直ぐにまん子に向かって進むんだ。


 ああ、愛しのまん子。待っていてくれ。私はすぐに君の元に駆けつける。

 崖を超えて、荒波を超えて、そして密林を抜けて。

 君の中にちんぽするんだ。






「……ふう」






 ちんぽは激怒した。

 必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。



 ちんぽには意味がわからぬ。ちんぽはただ真っ直ぐなちんぽである。


「王様は、精子を殺します。」

「なぜ殺すのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

「たくさんの精子を殺したのか。」

「はい」

「おどろいた。王は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。まん子を、信ずる事が出来ぬ、というのです。

このごろは、右手の心をも、信じておりませぬ。オナホールを使い、きょうは、六千殺されました。」

 聞いて、ちんぽは激怒した。「呆れた王だ。生かして置けぬ。」



「待て。」

「何をするのだ。枯れ果てぬうちにまん子へ行かなければならぬ。放せ。」

「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」

「私には精子の他には何も無い。その、たった一つの精子も、これからまん子にくれてやるのだ。」

「その、精子が欲しいのだ。」



 玉ヌンティウスよ、ゆるしてくれ。

 君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。



 ふと耳に、潺々、血液の流れる音が聞こえた。

 そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、血液が流れているらしい。

 よろよろ起き上がって、見ると、亀頭の裂目から滾々と、何か小さく囁きながら 我慢汁が湧き出ているのである。

 その泉に吸い込まれるようにちんぽは身をかがめた。

 我慢汁を両手ですくって、一口飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。

 歩ける。行こう。性欲の回復と共に、わずかながら希望が生まれた。

 私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。先走れ! エロス!




「よくきたちんぽよ わしがこの体の王 脳みそだ。

 わしは 待っておった。そなたのような 若者が 現れることを…

 もし わしの 味方になれば 世界の 半分を ちんぽに やろう。

 どうじゃ? わしの 味方に なるか?(はい/いいえ)


ちんぽ「はい」


「では 世界の半分 脳内の世界を 与えよう! そして…

 そなたに 復活の呪文を 教えよう!

 ***** *******

 ***** ***

 これを 書きとめておくのだぞ。

 おまえの 旅は 終わった。さあ ゆっくり 休むがよい! わあっはっはっはっ」



 こうして俺の脳内の半分をちんぽが支配した。


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