二カウント目:創造者の誕生


神は人間より相当成長が早く、一ヶ月程度で言葉を喋り、全てのことが自分で出来るようになる。

そして産まれてから五十日目、とうとうアスタルテが創造神として世界を作り上げる日が来た。

これはその日の朝からの物語である。



「とうとう今日なのね、あなたが創造神になる日は」

両親は無名の神でひとくくりにノームと呼ばれている、名前がつけられるのは産まれる前からそれだけの才能を持つ子供だけ。

それに神の中でも司る物は変わり、気候を司る神や星を守る神、そして神の直属の部下になる番人。

番人も神ではあるが、名は無くノームよりは上位だがそれ以上でも以下でも無い。

名をつけられるような上位の神は皆口を揃えて『道具』と言っている。

だが、アスタルテはそうは思っていなかった。


「私は頑張れるのでしょうか、少しだけ不安ですお母さん」

「あなたなら大丈夫よ、それに、私やお父さんみたいなノームが口出し出来る事じゃ無いわ」

「頑張って来ますねお母さん、与えられた役目を果たすために」

「いってらっしゃい」

「いってきます、お元気でお母さん」


創造神になるということは、世界を作る者になるというだけの意味じゃなく。

先輩の創造神をお手本に銀河を作り、必ずその一つで人という生命体を作りあげなくてはならない。

人以外の物は何を作っても構わず、ドラゴンやゾンビなどを作り出している世界もあったりする。

簡単には人間が生活できる環境を作り上げ絶滅させないことが、条件になっているということだ。


統合神の間に着くと、自分と同じくらいの神が沢山居た、多分自分以外の神の皆さんなんだろう。


「遅かったのアステルテよ、こっちにくるのじゃ」

「遅くなってすいません、統合神様」

「構わん、家族との別れは辛いじゃろう。それにもう二度と会えないとなれば」


ノームの基本寿命は十年、その間に子孫を残すか独り身で死んでいくかは個人の自由だ。

ほとんどのノームは子孫を残し、最終的には名前をつけてもらえるような神を目指している。

神は死ぬと光に帰り、その意識と記憶は一カ所に集められる。

ノームも例外では無く、父も母もあと三カ月ほどの寿命だった。

光の集まる場所は『グラディス』と呼ばれ、各世界の終わりを告げる門『終焉の門』の開放を抑制している。

それも有限ではあるが。

『終焉の門』が開いた場合、問答無用で神も一緒に世界は消される。

命がけだと言われれば命がけだ。


「いえ、問題ありませんお互いにもう二度と会えないのは覚悟の上です」

「そうか、なら後は頑張るんじゃぞ、わしはなにもする事は無いからな」

「精進させてもらいます」


一時間ほどで星は大体の物は作れた、普通は一日ほど掛かるそうだがそれをアステルテはたった一時間で終わらせてしまった。

人間を誕生させる星を作るためにまずは太陽系という物を作った、中心に太陽を起き周辺に惑星を作り、昼夜が来るように太陽の周りを回らせる。

その中で人が住める環境の星を作るのに一億年、その間にその惑星の名前を皆で決めた。

水の惑星地球、人間が生活するには十分な環境が出来たのは、唯一この星だけだった。

そこから神の手によって作られた人間の祖先を海に巻き、また一億年という長い長い時が流れた。

この世界では神も人間と平等、そういう規則を作ったアスタルテは自らの作った規則で、自分が殺されるとはこの時は思いもしなかった。

いつか来る可能性がある、という物でしか無かった。

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