どこでもないところ

水宮うみ

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 どこでもないところから抜け出せなくなって三年になる。

 間違って乗った電車が、千年に一本しか運行していないどこでもないところ行きの電車だったのだ。電車賃は810円だった。次に普通の世界に戻れるチャンスは千年後だと、人間ではない駅員さんが教えてくれた。

 三年の間に、本当に色々とあった。何者でもない猿が土地ではない山から下りてきて落ち着き払った騒動になったり、僕ではないわたしがお父さんではない父親と生まれて初めて再会したり、上位存在ではない神様がいきなり現れて「私は死んでない!」と叫んだかと思えばすぐに消えたりした。

 どこでもないところに居るのは本当に嫌だ。なんでもありな世界にいるとなにもかも嫌になってくる。

 あぁ早く、なんらかの場所に行きたい。

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どこでもないところ 水宮うみ @mizumiya_umi

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