17センチ3ミリ : 妖魔神伝--紅眼の巫女--1

ごとう有一

序  ひとなみ

 17センチ3ミリ。

 すなわち、173ミリ。

 173(ひとなみ)…、人並み…。


 これは、長さではなく、距離なのです。

 おれだけの持つ力の距離。

 少しでも伸ばそうと、毎日努力をしてきたけれど…、もう、限界かもしれない、と、思っています。


 でも、これは、おれだけにしかない力…のはず。

 決して、人並みなんかではない、力。

 ただ…、

 ただ、うまく使えなかった…。

 うまく、使えなかったのですよ、この、おれの力を…。


 そう、生まれてから二十数年もの間…、この力の使い方がわからなかったのです。


 なにに使ったらいいのか?

 どう使ったらいいのか?


 まあ、本当のところは、今もなんですけれどね…。

 あ~あ…。

 なんとも、な~…。


 そう、思う日々だったんですよ、ずっと。

 ところが…、ところがですよ、それが、思いもよらないことから急展開していったんですよ、楽しい毎日へと。


 そして、なんと、なんと、妖魔と対決することにまでなっちゃって…。

 一度動き出すと、止まらないもんなんですね。


 楽しい旅、ご一緒に、いかがですか。




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