エキゾースト・ノート

もげら

第1話

 朝の空気は、酷く生々しい。

人がそれぞれに歩く靴音と、たまに走り去って行く車の音。

まだ目覚めきっていないような風の匂い。

見知ったような、毎日すれ違うだけの人達の眠そうな顔。


向こうから見た自分は、同じように『朝すれ違うだけの人』なんて認識なんだろうか?そもそも認識自体しているのか?

なんて、どうしようもない考えを巡らせながら、

アパートから5分ほど離れた駐車場まで歩くのだ。


今日は早く帰れるかな…早く帰りたいな…なんて

昨日確認した今日の予定を思い出しながら、まだ始まってもいない一日の終わりに思いを馳せて車に乗り込む。


さあ、もう行かなくちゃ。


お決まりの音楽をかけて、会社までの30分

車は走る。

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エキゾースト・ノート もげら @mogera

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