絶対殺すマン参上
コトンッ
エレベーターから放物線を描く様に拳程の大きさの物が宙を舞いスターリンの足下に転がった。
それを見たスターリンは思考するよりも先に大声で叫ぶ。
「退避ぃぃい・・・」
スターリンの悲痛な叫びが合図になったかの様にその瞬間に辺りは眩い光に包まれた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
クロスは自分が通ったフロア内全ての監視カメラを破壊していた。
エレベーター内の監視カメラも同様に、自分が完全に乗り込んだ事を監視カメラに写したあとゆっくりと破壊した。
そしてクロスは一度エレベーターを降り、付近で死んでいた男をエレベーターに乗せ自分の髑髏の仮面を被せる。
その後自分自身はエレベーター天井の非常用ハッチから機体外に上がりそのまま4Fに上った。
エレベーターのスピードが徐々に緩やかになりやがて電子音を奏でながら完全に停止する。
扉が開き始めたのと同時に銃弾が嵐の如く亡骸に襲いかかる。
しかしその情景を眺めクロスは思う。なんとも滑稽。
むやみやたらに銃撃し仮にも自分達の仲間の亡骸をこれ見よがしに銃撃する。
なんとも滑稽である。
やがて数十秒が過ぎただろうか指揮官らしき男の声が銃声に混じって2度微かに聞こえた。
それを機に銃弾の嵐は止み、火薬の匂いと煙で充満されていた機内が晴れていく。
そして、発せられる歓声。
クロスは懐から黒い球体を取り出す。
[敵を絶対殺すマン7号 クロちゃん専用機
※クロちゃん以外さわったらメっだからねっ!!!!!!!!!]
丸っこい字でなんとも長ったらしく書いてある。
それを見てクロスは短いため息をつく。
「はぁ・・・手短に手榴弾じゃだめなのかミレイよ・・・」
組織きっての天才少女の顔がクロスの脳裏によぎる。
ミレイ・ニューストン 齢10歳にして重火器から隠密機器等数々の発明品を開発し功績をあげてきた。組織内ではある意味ではクロスより死神に近い存在とも言われている。
序列9位 非戦闘員にして唯一のシングルナンバーの持ち主である。また、重度のクロス好きであり機嫌が悪くなるとクロスを呼ばないと全く仕事をしなくなるという悪癖の持ち主である。。。。
クロスはミレイお手製爆弾 通称:敵を絶対殺すマンのスイッチを起動させエレベーター前に放り投げる。その数瞬後、閃光弾の様な光が辺りを包みその後パンッと乾いた音が鳴り響いた。
クロスはその音で任務前に流し読みしていたメモ書きを思い出す。
「クロちゃんへ せつめいします。こんかいの絶対殺すマンは2段階仕様になっていて、閃光を放った後あと半径5m程度内の生物は必ず殲滅するちょうこわい爆弾です。
火は出ないからバンッて音がなった後はすぐに行動開始して大丈夫だよーたぶん。
開発に2時間掛かってるからクロちゃんが任務終わったらだっこ2時間を所望します!!!! あっあとうわき?したらクロちゃん絶対殺すマン作っちゃうからね??」
クロスはなぜか最後の一文を思い出したとき背筋をぞくりとさせる。
まるで歴戦の強者を相手にするかのように、、、、
乾いた爆発音の後、ゆっくりとエレベーター内に降り身代わりとなってくれた亡骸から髑髏の仮面を取り外しそのまま仮面を装着した。
エレベーター前の惨状はまさに地獄絵図そのもの。
手足が無く死んでいるもの。上半身と下半身がさよならしているもの。
隊列を組んでいたものは全員がどこかしらを欠損させ倒れていた。
「ミレイにはちゃんとご褒美をあげないとな。次はおれ自身ががんばりますか。」
クロスは呟きながら徐に通路奥に左手に持っていた拳銃を構え3発クイックショットでトリガーを引く。
その直後弾が弾かれただろう金属音が響き、この場には不釣合いな手を叩く音が聞こえてくる。
「これはこれは素晴らしい。単独でこの場所まで来られるとは、御見それいたしました。
下の階で頑張っていらっしゃるお仲間もお素晴らしいご活躍で。」
黒のスーツにいかにも胡散臭い笑顔で賛辞を述べ拍手をしながらこちらに歩いてくる男。
そしてその男に続くように二人の男が現れる。
一人はいかにもちゃらちゃらしていそうなストリート風の格好をしておりガムをくちゃくちゃと噛んでいる。
もう一人の男は極東に位置しているといわれる国の民族衣装 キモノを羽織り 刀といわれる剣を携え目を瞑っていた。
このいかにもミスマッチな三人組。
傭兵会社の幹部でありクリスタルカンパニーが護衛で雇っている腕利きの傭兵であった。
「このクリスタルカンパニーは貴方達のご活躍で今日で終焉をむかえるでしょう。が、そんなこと今や私たちにとってはどうでもいいことでして。」
男はにやりと笑いながら続ける。
「私たちは端くれながら闇組織に属している身。かの有名な死神・サリエルと思われる貴殿を目の前にして戦わずしてどうしろと?」
To be continued
ノーネーム @toika203
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