第139話 黒幕
部屋『しっとり』は僕達の部屋に似ていて、落ち着く。
だからかな?
起きた頃には夜だった……。
(寝過ぎたよぉ……)
僕は呟いた。
「……ん~?グレープ?」
(あ、フルルおはよう。でももう夜だよ。)
「え~!お昼御飯食べてない~!」
そこですかそうですか……。
僕とフルルが食堂に行くともう晩御飯タイムだった。
「あらフルグレ、おはよう!」
「おはよ~!フルルも晩御飯食べる~。」
昨夜の迷推理を反省しているのかキリンはじゃぱりまんをチビチビ食べていた。
「でも……結局犯人は誰だったんだろうな?」
オオカミが呟くように言った。
「そだね……確かにチョコ味で美味しいのは分かるけど……」
……ん?
「あれ、あんかけってあのじゃぱりまん食べてたっけ?」
「あ、オオカミさん……これは……」
「怪しいです!やっぱり犯人はあんかけさん!?」
「……はい。」
あんかけが犯人だったとは!
「あんかけさん……もっと早く白状しなさいよ!」
「ごめん……。あ、もう事件は解決……だよね。」
「そうに決まってるじゃないですか!何言ってるんですか!」
……。
「ふゎ~いっぱい食べてお腹いっぱい~。」
(フルル……事件についてなんだけど……)
「ん~?」
あくまでも仮説だけど。
(黒幕はあんかけじゃないんじゃないかな……。)
「え~?」
(いや、もちろんあんかけは犯人だよ?だけど黒幕が他にもいるんじゃないかなって。)
「そうなの~?」
(うん……後、実はさ、ここ最近……)
僕はフルルに全て話した。
「……成る程、なら黒幕は……だね?」
(うん。……で決まりだ。)
もう僕とフルルには黒幕が誰か分かっている。
「後は黒幕をどうおびき寄せるかだね。」
(早くしないと全員寝ちゃうよ?)
「じゃあ……フルルが持ってきたじゃぱりまんを犠牲にするよ!」
驚いた。じゃぱりまんを大事にしているフルルが……?
(いいの……?)
「いいの~。グレープが知りたいんでしょ~?」
そういうことか……僕の為……。
(……うん。じゃあお願い。)
「よし、行こう!」
僕とフルルは部屋を飛び出して食堂に向かった。
フルルのポケットにはきっちりとじゃぱりまん。黒幕……出てこい……!
僕とフルルは食堂に着いた。
みんなまだ寝ていなかった。食堂でのんびりしていた。
「あら、どうしたのフルル?」
「夜食用にじゃぱりまん持ってきたよ~。」
「フルルさん、助かります!」
「このろっじ、夜行性も泊まるもんね~。」
「真夜中に食べるフレンズもいますからね~。」
フルルとアリツさんが盛り上がる。
この会話はあんかけの耳には届いているようだ。
……みんな寝る時間。
僕とフルルは食堂に潜んだ。
これで来たフレンズが怪談大会にいなかったフレンズだったら……。
その時、影が揺らいだ。
「ちょっとそこのフレンズ!……ねえ、もしかして黒幕はきみなの?怪談大会にいなかった……。」
「な、何で分かって……」
「やっぱり~。あんかけはロウソクの火を消すただの共犯で、あんかけがじゃぱりまんの味を知っていたのはきみと一緒にじゃぱりまんを食べたから。先生が黒かったと言っていたのはきみが真っ黒なフレンズだから。そうでしょ?」
フルルはそのフレンズをよく見て言った。
「……イカスミ。」
イカスミは黙っている。
イタズラがバレた子供のような顔をしている。
「……僕は……僕は夕食を食べただけだ。」
「でもフルル達の所から盗らなくても……」
「……何で今まできみ達と話さなかったか分かるか?僕は……ヒトやフレンズが嫌いなんだよ!」
イカスミは駆け出した。
「ちょっと!」
フルルの足では追いつかない……
そんな速いイカスミを受け止めるフレンズが1人。
「……うん、盗みはいけないことだよ。私も悪かった……。」
「あ、あんかけ……」
あんかけとイカスミは少し話し合っている。
「……えー、話し合いの結果、イカスミがお詫びに自分について話してくれるそうです。」
「お前ら、僕のこと気になっていたんだろう?なら教えてやるよ。」
イカスミが僕とフルルを見下すようにニヤリと笑う。コイツ、意外とゲスい?
イカスミの謎を聞く準備が出来た。
話してくれ。
僕はイカスミの金色の瞳を見上げていた。
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