第110話 行旅(ふぃにっしゅ)

「ふゎ~……」

(ん……)

僕とフルルが同時に起きる。起きるタイミングまで同じとは……。紫色のエンゲージリングで繋がったか。

「おはよう……お腹空いたぁ」

(僕も。朝御飯食べに行こっか。)

「うん」

僕とフルルは食堂へ向かった。


「あら、フルルさんグレープさん!」

「かれーつけたじゃぱりまん食べる!」

即答!やっぱりフルルの頭の中にはのんびり出来る場所と食べ物と……寝ることと……僕?///

「……ん~?グレープどうしたの~?かれーつけたじゃぱりまん来たよ~。」

はっ!いかんいかん。

「フルルさんならそう言うと思って用意しておきました!」

「ありがと~」モグモグ

うん、やっぱり美味しい。今度かばんにかれー作ってもらってそれに桃味のじゃぱりまんつけようかなぁ……。

「ふふ、2人とも仲良しだね」

「そうですね!」

「あ、オオカミとキリン」モグモグ

フルルの視線の先にはオオカミとキリンがいた。

「その仲良しさ、今度描く恋愛モノの参考にさせてもらうよ」

「分かった~」

「楽しみです先生!」

キリンが嬉しそうに跳ねる。朝からテンション高いなぁ……。


「ありがと~!じゃあね~。」

「ありがとうございました!」

「じゃあ。」

「またねー!」

ばすが走り出す。手を振るみんながだんだん小さくなっていく。

ふと上を見上げると窓が開いている部屋があった。黄色い耳と黒い耳……間違いない、あんかけと黒猫だ。本当に黒猫、何奴……?


走るばすの車内、僕とフルルは寄り添っている。

(……ねぇ)

「ん?」

(今、幸せ?)

「……もちろん」

うむ、その4文字だけで今夜はぐっすり眠れそうだ。


ゆったりしたムードで帰ってきた。

僕とフルルはみずべちほーの空気を吸った。やっぱりここの空気はいい。

「じゃ、楽屋行こ!」

(うん)

僕はフルルについていった。


「「「「「おかえり~!」」」」」

楽屋に入った途端PPPの残りメンバー+マーゲイが盛り上がった。

「ただいま~!」

みんな僕とフルルに近づく。

「どうだったの?」

「楽しかった~!」

「私達がいない旅行はどうだっただろうか?」

「なんか新鮮~!」

「グレープさんと仲良く出来ました?」

「もちろんだよ~!」

質問攻めにも動じず答えていくフルルすごい。

「フルルがいない間暇だったぜ~?」

「イワビーさんはお気に入りの石で遊んでいたじゃないですかぁ~!」

「それを観察していたよなお前……。」

「バレてました!?」

ほのぼの。

そうだ、これがいい。

ただいま、みんな。おかえり、ほのぼの。

「さあ、フルグレおかえりパーティーよ!」

「「「「「わーい!」」」」」


みんなでじゃぱりまんを食べる。

フルルは旅行の話をして、みんなはそれを聞いてああだこうだ言う。

「……で?結局幸せなのかしら?」

「うん!」

その笑顔を見て……もっともっとフルルを幸せにしよう、そう思った。



お開きになったパーティー後。僕とフルルは部屋で微睡んだ。

折角優しい世界に来たんだし、もっといい思い出を作ろう。

僕は温かい気分で寝た。

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