第7話 旅行(ゆきやまちほー)

「寒ーい!」

フンボルトペンギンは暖かい地域に住んでいる為、寒いのが苦手だ。ばすがゆきやまちほーに差し掛かった途端、僕とフルルは寒さで震えてた。

「こういう事もあろうかと、カイロを持ってきたぜー!」

「カイロー?……ほわーあったかーい」

本当だ。とても温かくて、ずっと触れる……!


「グレープ、じゃぱりまんあるわよ」

あ、そうだった。ペンギンの日にフルルに貰ったじゃぱりまんがあった。

「はい、この桃色の方でしょ?」

「フルルがあげる。後、フルルのも取って。」

「え?あぁ、うん……」

……やっぱりなんか言い方がキツイ。どうしたんだろ……

(フルル……)

「んー?何ー?」

あ、いつも通りだ。

(じゃ、じゃぱりまん食べよー)

「うん!」


「おぉ……広がる白銀の世界っっっ!」

「あ、あそこに何かあるぞ……?」

「……トイレでしょうか?」

「プリンセス、温泉楽しみだな~!」

「そうね。日頃の疲れが取れるらしいから!」


そして後ろを見ながらじゃぱりまんを食べる僕とフルル。なんか僕達だけ平和だな……

「グレープ、一緒に温泉入ろうね?」

(あ、うん!)

……なんだろう、今度はオドオドしてるような感じだった。


「あ、あれが温泉か?」

「どこどこ~?わー本当だ~」

(よく見えない……)

「じゃあ……高い高~い これで見えた?」

(あ、見えた見えた!)

「よし……入りましょう!」


「誰かいませんかー?」

「はいはい!ってあなた達!」

「PPPです!あ、私はマネージャーのマーゲイですが……」

「入って。博士から話は聞いてるわ。私はギンギツネ。よろしく!」

「僕はキタキツネ……」

「カピバラだよよよ~」

3人出てきた。3人共ペンギンではなかったけれど、優しそうだった。


「ついに温泉……ぐへへへへぇ……」

「マーゲイは3人と入って。PPPはPPPで先に入るから」

「え……」

まぁ鼻血が入った風呂には入りたくないしな。

「っていうか、あなた達服の事知ってたのね……」

「事前調べです。」

「マーゲイが急に暗くなったぞ」

「3人と入らせていただきます。」

どんだけ見たかったんだよ……


「はー……足の疲れが取れるぅぅぅ……」

「私もだ。ライブ前に入ったら緊張なんてしないだろうなぁ……」

「じゃあ今度ゆきやまちほーでライブをやったらどうでしょう?」

「おー!いいなーそれ!」

「ゆきやまちほーは寒いから温泉入ってからねー……」

(僕も寒いの嫌い……温泉最高……)

「温泉最高……」

フルルと入ってるから余計幸せ……天国逝きそう……でも天国に逝ったらフルルに会えなくなる。もうそろそろ出よう。


その後、マーゲイ達も入って最初のミッションコンプリート!

「私まだゲームしてたかったですぅぅぅ!」

「マーゲイ!?」

「またげぇむしようね」

「キタキツネ……」

「あれ~?カピバラは~?」

「まだ温泉に入ってるわよ」

「すご~い!フルルもまだ入りた~い」

「無茶言わないの!」

「プリンセス……」

「え?なんかごめん……」

い、一体フルルとプリンセスの間で何があったんだ……?


「じゃあ、またね~」

「「「さようなら~」」」



こうしてばすはまた出発した。フルルとカイロと温泉の温かさを乗せながら。



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