第5話 記念
今日、4月25日は『世界ペンギンの日』らしい。
だからみんなにサプライズしようかなと。
「サプライズしたいですか?」
あ、マーゲイ。
「私はPPP全員にサプライズしますが、グレープさんにはフルルさんだけにサプライズしてほしいのです!」
え、いいの?じゃあ遠慮なく……僕は大きく首を縦にふった。
図書館へのルートは覚えてる。
確かここを真っ直ぐに行って……あ、あった!
「グレープですか……」
博士が音を立てずに飛んできた。
「何の用ですか?」
助手も来た。フルルへのプレゼントは決まっている。紫色のじゃぱりまんだ。
僕はじゃぱりまんを出して、自分の腕輪を手で示した。……分からないよね。下手なジェスチャーだから……
「紫色のじゃぱりまんですね?」
!? え、分かったの!?
「お前らはラブラブですね。」
え……確かにそうだけど……何か関係ある?
「分かりました。『ちょい』してくるので待ってて下さい。」
「行きましょう、博士。」
「そうですね、助手。パーティーは今夜らしいので。」
ビューーーン
博士と助手はどこかへ行ってしまった。
何をして待ってれば……あ、池がある……ちょっと泳ごうかな……
ザパーン
……うわ、めっちゃ心細い。やっぱり僕はフルルがいないと生きていけないよ。フルルといないと『ミドリ』を思い出してしまいそうだ……
……緑色に紫色はあわないなぁ。いやいや、こんな事考えていちゃ駄目だ。
そーいやマーゲイ、秘密守ってるかな……?
「マーゲイ大変だよー……」
「フ、フルルさん!ど、どうしたんですか?」
「グレープがいない……」
「あ、えと、としょ……あ、分かりません!」
「えー!?」
「ごめんなさい!でも、絶対夜には帰ってくるそうなので!」
「……やっぱりフルルにはグレープがいないと生きていけないよ~。」
「……!」
「グレープ、じゃぱりまん持ってきたですよ。」
「ちゃんと紫色のを持ってきたですよ。我々は賢いので。」
10個あった。充分だ。僕は博士と助手にお辞儀をした。
「もう行った方がいいですよ。きっとフルルが待ってます。」
博士が初めて笑った。
「そうですよ。お前がいないとフルルが悲しむでしょう。」
助手も笑った。博士と助手も、実は案外優しいのかもしれない。
僕はもう一度お辞儀をして、紫色のじゃぱりまんを持ってみずべちほーに帰った。
もう夜……早くフルルに会わないと!
タッタッタ
「あ、グレープ、お帰り!」
「もう始まってるよ」
「今からプレゼントを渡し合うので早く来て下さい!」
「遅いぞー!早く来いー」
「グレープ!お帰りー!」
(ただいまフルル。……ごめん、プレゼント用意してたら遅くなっちゃって。)
「あ、もしかしてそのじゃぱりまん……」
(……うん!はいどうぞ!)
「わーい!フルルからもグレープにプレゼント~」
僕は驚いた。フルルがくれたのは桃色のじゃぱりまんだったから。きっと博士と助手が僕のジェスチャーを分かってくれたのは、フルルもじゃぱりまんを頼んだからかもしれない。
「一緒に1個食べよ~。旅行用にも残しておくからね」
(うん!)
ズサーーー
「マ、マーゲイ!?」
「すみません!プレゼント用意してたら遅くなりました!私から皆さんにプレゼント!」
「これって……本に書いてあった……」
「バンドの楽器です!」
「おー!私はボーカルね?」
「私はベースだな」
「私はキーボードですね!」
「俺はギターだぜ!」
「フルルはドラムだ~」
「グ、グレープさんのはないです……すみません……」
(平気だよ。)
「平気だって~」
うん。楽器なんて僕にはいらない。フルルから美味しいプレゼントをもらえたから。それで充分だよ。
「見つかりました。」
「見つかりましたね。」
「明日PPPを呼びますか。助手。」
「そうですね。博士。」
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