　だから項羽の『自分の男に一緒に使えて、ゆくゆくは妻にどうか？』と、述べられると流石に心が揺らいだのだよ。

　だって、先程も述べたが！これからどれだけ自分自身の命を削りながら劉邦（赤帝）に忠義を尽くし励んでも、妻にはしてもらえない。

　……それどころか？側室の任まで解かれ、領地経営へと左遷……。

　そこで夫を娶り隠居生活をしろと。もう既に韓信様は劉邦（赤帝）に告げられている訳で……。

　と、なると？歴史は繰り返されるから。夫と子が出来、新たな家族が出来たところで、謀略に遭い。

　一族もろとも斬首か磔の刑に遭い根絶やしにされるのでは？と、思い始めたから。もう、韓信（彼女）自身は駄目だね。

　心は揺らぎ始め、「あああ……」と、言葉を漏らし天を仰いだ……。

　哀愁の思いに耽る韓信（彼女）が総大将をしている隊だから。もうこうなると駄目だね。逆に押されモードになっているよ。

　でも、韓信様はそんな状態を気にもしていない素振りで、相変わらず天を仰いだ状態なのだよ。

　もうこうなると、刹那──。

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