第77話 項籍・項羽と韓信! (46)

「あああ、確かに儂は韓信、貴様の述べている通りで、自己中心的な女だよ。武に関しても、この世に儂に並ぶ者無しだと想うている……。う~ん、でものぅ? こんな自己中心的な儂にも、どうしても頭が上がらない愛しい君がいるのだよ……。でッ、儂は、韓信、お主に。儂に降れとは申してはいないのだ。儂の愛する君に降って力を貸してくれぬか? 儂の君は、儂や劉邦とは違い本当に優しい御方だから……お主だって知っているだろうに? あんなにも人の良い殿方は、そうそう他にはいないと思うぞ?」


 覇王妃様のこんな突拍子もない言葉に、流石のも動揺を余儀なくされたよ。


 今の今迄は、の度重なる重装騎兵による突撃も、難なく部下達に適切な指示を送り対処していたのだが。


 今のの言葉で動揺を始め、部下達への指示が遅れ雑になり始めている。


 そんな彼女らしくない行動を此方も見ていて何故? と、思うのだが。


 それは仕方が無い事なのかも知れない?


 だって、良く思い出して欲しい? 韓信は籍に命乞いして解放をしてもらっているのだよ。


 それも一度や二度の事ではない、数回にも及ぶ程、籍は韓信様の女の涙と色香と言う武器に。自身の顔を緩ませ鼻の下を伸ばしながら、韓信の命乞いを許可して解放をしている。


 お人好しの殿様なのだ。





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