54日々は束の間

 夏は過ぎ、秋には学園祭でライブに駆り出され、長い冬が終わって春休み前日。

 爺ちゃんの訃報を聞いた。


 最後は眠るように寿命を終えたという。


 喪主をおとんが務めるということで、葬式の準備や故人と親しかった人物への案内と忙しくしていた。


「鉄朗呼んでもええか」


 葬儀屋と電話している横から聞くと、おとんは片手でオーケーサインを出した。

 了解を得てから、ラインで鉄朗に葬式の話をすると、そっちもすぐ参加すると返事があった。


「喪服って要るか?」と鉄朗から追加の連絡が来て、オレは学ランでええやろうと言うと「儂んとこブレザーやわ」と返ってきた。

「一緒やろ。学生は制服や。移動費はウチで持つから、現地集合で」

「分かった」


 やりとりを終えて、オレは居間のソファに腰を下ろした。


「死んでもうたかぁ」


 まだ実感は無かった。

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