25 十四日目の2 足止め

 因幡の白ウサギに別れを告げて、オレたちは内陸へと移動した。

 もう住む人も居ない祖父母の家に泊まらせてもらうためだ。


 おとんにはもう連絡して、伯父経由で宿泊の許可を貰い、家に向かう。

 夜七時ごろ、家に到着し、ガレージを開けてバイクを入れた。


 まだガスも水も通っているので、近所のスーパーで食材を買って食事を作り、食事を終えると風呂場でシャワーだけ浴びた。ほんの二三ヶ月使っていないだけで浴槽の劣化が酷く、湯を溜めるまえに大掃除が必要だったから。


 久しぶりの屋内での睡眠とあって、オレたちはたちまち眠りに落ちた。


 眠りながら、西へ向かう前に祖父母の見舞いをしておこうかと思っとったが、それより早く日本を縦断してしまおうと考え直した。


 ところがそうはいかんかった。


 北海道でミラーを折った転倒は、ミラーだけでなくタンクにも僅かに傷を付けていた。道中の雨の中、気付かないうちにエンジンオイルが少しずつ流出し、徐々にエンジンが焼き付いていて、オレが夢を見ている最中に、とうとう壊れてしもた。


 そういうときに限って、夢に見たのは旅の続きやった。

 どことも知れん広い草原を駆けて行く。長い長い、白い畦道を。

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