グングニル
「ねえ?あなたレジスタンスに入らない?」
「そりゃまた急なお誘いっすね?」
カイムとロロナが正門の裏道へ向かうために城内を走り回っている最中のことだった。
カイムは急にロロナからレジスタンスへの勧誘をされていた。
「じゃあ雇わせて!報酬はちゃんと払うから!」
「んー、お誘いはここを乗り切ってからからにしてほしいんスけど」
「お金なら後でいくらでも...」
「悪いけどお金にはいまそんな困ってないんすよ」
カイムが言っていることは本当だ。
元々カイムは昔傭兵の仕事をしていて、その筋で有名だった。
その時に自分が望まずとも大きな仕事が入ってくることが多々あり、お金にはだいぶ余裕がある。ロロナは少し考える様子を見せた後、それじゃあとと口を開いた。
「リーダーと相談が必要だけど、私たちの目標が達成されたら七神器をあなたに譲るわ」
「神器だって!?」
七神器。
そのうちの一つ「救済の剣エクスカリバー」はカイムが師から譲り受けたものだ。
そして魔女ティアマトの戦いで無くしてしまった大切な剣だ。
「ちょっと待って、今神器持ってるんスか!?」
「ちょっ近っ」
「俺のエクスカリバーは!?」
「俺のって、今はまだ原初の魔獣が持ってるはず。今私たちが持ってるのはこの裁定の槍グングニルだけよ」
そう言って何もない場所からグングニルが現れた。
神器は体内に取り込むことができるというのが他の武器とは違う所だ。
カイムはロロナからグングニルを受けとり確認する。
「クレアのだ」とポツリと呟くカイム。
ロロナに槍を返してから、肩を掴みカイムは説明を求めた。
「どこで見つけたんすかこれ!」
「イストリアにいる原初の魔獣との戦いでの戦利品よ」
「原初の魔獣か」
カイム達がティアマトと戦う前に消滅させた魔女ティアマトが作った化け物だ。
通常の魔獣とは異なり、言葉を話すことのできる魔物で、強さも尋常ではない。
原初の魔獣は13体いたが、カイム達がティアマトととの戦いの最中全て倒したはずだ。
つまりティアマトが新しく原初の魔獣を生み出したと言うことだ。
「こりゃまためんどうなやつらが....」
一体倒すのでもかなりしんどかった記憶がカイムにはあり、顔が歪んだような表情をしていた。
ロロナに返したグングニルにカイムはいきなり声をかけ始めた。
「おいグングニル!起きろ!」
「あなた...大丈夫?」
グングニルに特に反応はなく、ロロナに可哀想な目で見られるカイムであった。
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