牢の中で
目を開けるとそこは記憶にない石で出来た天井が広がっている。
カイムは寝てしまう直前何をしていたかを思い出そうとするが、やはりだだっ広い森の中で寝ていた記憶しかない。
「どこだここ」
知らない間に夢遊病にでもかかってしまったのだろうかと真剣に悩んでいるカイム。
しかし、悩んでいる彼に急に声を掛けられた。
「よう、ようやく起きたのかい少年」
声をかけてきたのは30代くらいの男で黒く長い髪を一本に束ねているのが特徴的だった。
「おっさん誰っすか?」
「あれ、俺のこと知らないの?」
「いや、おっさん顏の知り合いなんて片手で数えれるくらいしかいないっスから」
「少年、流石に知らない人間のことをおっさんおっさん連呼するのはどうかと思うぞ。あと俺の心が砕けそうだやめてくれ.......」
「あー俺もまだまだだねー」といいながら男は後頭部を掻きながら呟いた。
「俺はスティンガー。レジスタンスのリーダーをやっている。今はこうして捕まっているがな」
すごいドヤ顔で捕まってる宣言をされたのは初めてだとカイムは心の中で思っていたが、彼の言葉に少し引っかかった。
「捕まった?」
「ああ、部下裏切りってやつさ。まあ今のご時世しょうがねえっちゃしょうがねえがな」
「で少年はなんで捕まったんだ」
「は?」
カイムは辺りを見渡す。
確かによく見るとここは牢屋の中だ。
「なんで捕まってるんスか俺?」
「なんだお前、自分が何をしたかもわからんのに捕まったのか、はははははっ」
ツボに入ったのかスティンガーは大笑いをする。
「いやどっかの森で寝てたのは覚えてるんスけど起きたらここに....ってそうここどこ!?」
「ここか?アルタイルの端っこにあるタイリスだ」
「タイリスだって?随分飛ばされちゃったっスね」
「少年はどこからきたんだ?」
見知らぬ男にどこまで話していいのかカイムは迷った。
「んーまあ話すとややこしくなるからあれなんスけど、アルスラーンから……」
「アルスラーンだって!?なんだってそんなけったいな所に?腕試しか何かか?」
「腕試し?」
「違うのか?10年前に魔女ティアマトを追い詰めたあの都は今や魔獣の巣食う地じゃないか。あんな場所に行くのは命知らずのやつか教会のお偉いさんくらいだろうよ」
何故そんな人間が魔獣の地にという疑問もあるがそれ以上に気になる言葉が出てきた。
「ティアマトを追い詰めたのが10年前だって?」
カイムは驚愕の事実に驚きを隠せなかった。
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