クエスト一覧
救援要請(急募!!) 『四刀使いの剣士』
《場所》
ミステリーダンジョン地上・森林地
《依頼者》
西の町の住人
《内容》
俺は見たんだ。いきなり生木が五、六本ほどぶった切れて空に舞ってた。嘘じゃねえ、しかもやったのは見た目二十かそこらの若造だ。どうなってやがる。
何考えてんだか知らんが、地下から這い上がって来た野良魔物を皆殺しにしてるみてぇだ。それだけならいいが暴れ過ぎだ、衝撃が地下にも伝わってダンジョンの中がえらい騒ぎになってる。ふざけんな、興奮状態の魔物が地下から噴き出して来たらどうするつもりだ!?
しかも正義感ぶった冒険者共まで町から意気揚々と森へ向かい始めた。クソが。
奴等は確かにチートとかいう凄まじい力を持ってるが、それだけだ。散々暴れて周りの被害なんて気にやしねぇ。
報酬はいくらでも弾んでやるからさっさと片付けてくれ。誰でもいい。殺したって構わねえ。このままじゃ耕した畑までダメにされっちまう!
難易度・★★★★☆
生死問わず
対象・『ターゲット一覧「陽向晶納」』を参照
目的・討伐あるいは拘束
※利害の一致がありえるならば、協力関係を結べる可能性も高
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「ゴミが、掃いても掃いても湧いてきやがる」
マチェットナイフを鞘に納め、巨大な昆虫のような魔物の死骸を靴底で踏み潰す。青年はここに来てからずっと、怒りと憎しみが綯い交ぜになった表情を維持していた。
人外の討伐任務を終えて、集落で休憩していた。そのはずだった。
ところが気付けば森の中。そして囲まれる奇々怪々な化物。
疲労もあってか、沸点に達するのは秒だった。人生最短でキレたと自負している。
木々ごと薙ぎ払い切り刻み、気付けば相手は人間。いつの間にやら森の外から騒ぎを聞きつけてやって来たらしい。
「何だテメェら。失せろ、殺すぞ」
彼は人外を殺し尽くすことを誓った身だが、相手が人間であれば話は別。
いや。
「…………、〝我が身は陽を宿す者〟」
なけなしの良心で話し合いに持ち込み掛けた彼の眉間目掛けて飛来した一矢をナイフで弾き、決断する。
「〝夜天の輝煌、宵闇に浮かぶ威光は絶えず瞬き永劫に灯る〟」
きちんと話の通じる、まともな人間であれば、きっと話は別だった。
「〝その陽は牢固たる磐石の星光〟」
言霊に応じ、地面から刃が生える。彼の身の丈を超える巨大な刃が両側から、鏡合わせのように柄の無い双刃が同様の質量と寸借を得て地面から離れる。
そして最後。正面から地中の金行を吸い上げ反りの無い直刀が柄を上向きにして彼の眼前に持ち上がる。
「『陽向晶納』の真名、解放」
彼―――陽向晶納にとっては、その刀の脅威を示すことが、警告と同義だった。
これより先、退かぬのならばそれも善し。
「暴れろ」
ただ一言に込めた殺意に連動し、左右に浮く巨大な刃は鳴動し震える。
最も彼の近くに寄っていた長剣を握る冒険者の身体が腰から上下に分断された。
臓物を散らばせながら、通過上にある木々を薄紙同然に斬り倒し天秤刀と呼ばれる二振りの刃は空を廻る。
それと同時に、直刀とナイフを両手に握る晶納の疾駆も開始された。
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