プロフィール(VSアルファベット)
「夕陽、何も訊かずにこの書面にサインして」
「畜生逃げるぞ幸!」
少女を抱えて窓から飛び出そうとした少年の襟首が捕らえられ引き摺り戻される。
片手にペンと何かの書類を持った女性はひどく心外そうに眉を寄せていた。
「なんで逃げるの」
「異界送りにされるからですよ!もう俺行きませんからねあんなとこ!」
前もこのパターンで痛い目に遭わされた少年夕陽にとってはむしろ何故逃がしてくれないのかが不思議でしょうがなかった。
「もう前回ので報酬がっぽりもらったじゃないですか、しばらくは働かなくてもいいくらいの!」
三度に渡る連戦、死闘に見合うだけの参加報酬として相応の額が振り込まれていた。命懸けで挑んだことを鑑みれば割りに遭っていたかは怪しいところではあるが。
「お金は正直どうでもいいのさ、稼ごうと思えばいくらでも稼げるから。でも技能や経験はお金で買えないだろう?」
「だから死地へ送ると!?」
「まぁ最後まで聞きなさい」
ジタバタ暴れる夕陽を抱えられた少女幸ごと羽交い締めにして押さえ付けながら、日向日和は続ける。
「今回の茶番もやはり『カンパニー』とやらが絡んでいるらしい。君にとって見過ごすことの出来ない、数々の非道を行ってきたあの組織がね」
「……」
その言葉に黙した夕陽。脳裏に浮かぶのは人間の生命を動力源として稼働していた殺戮機械、同胞を皆殺しにされ殺意に燃えていた熊猫。
「君は君なりに動いてみればいい。うまくすれば連中の計画をご破算にしてやれるかもしれない」
「……、幸」
「…?」
日和の拘束から解放され、抱えたままだった幸を床に下ろすと、片膝立ちで着物の少女と目線を合わせる。
「いい加減耳タコかもしれないけど…俺は人を害するものはもちろん、人外を傷つける奴等も許せない」
そして『カンパニー』は、それを両方侵している。
「丸ごと潰してやりたいが、俺一人じゃ無理なんだ。だから―――」
言葉は最後まで続かず、夕陽の右手を包むように握った小さな両手が、無言を貫く彼女の意志を何よりも表明していた。
「……っ!」
「ほんとお前はいい女だよ、幸。ありがとな」
くしゃりと頭を一撫でし、立ち上がった夕陽が左手を突き出す。
「今度はちゃんと書面の中身読ませてくださいね、日和さん?」
「んむ、もちろん。今回は私も出来る限りの支援を約束しよう」
ーーーーー
日向 夕陽 (ひなた ゆうひ)
・身長178cm・体重62㎏
・年齢17歳(高校生)
・戦闘スタイル・我流徒手格闘及び破魔の木刀による適当剣術(からの日向日和の支援としていくつかの道具)
二つの異能〝倍加〟と〝干渉〟、そして〝憑依〟の力を以て人と人外に仇なすものを討つことを目的に参戦。
選んだアルファベットは夕陽、幸二人から共通する『l』を選択。
尚、おとなしく『カンパニー』のイベントに付き合うつもりは今のところ、無い。
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