日向夕陽 (『ワールドワイド・フロンティア』自主企画参加用)
ソルト
第1話 プロフィール
・身長178cm・体重62㎏
・年齢17歳(高校生)
・戦闘スタイル・我流徒手格闘及び破魔の木刀による適当剣術
異能〝倍加〟を扱う能力者。身体能力や五感等を倍々に強化することが可能。人体の強度面から通常時の限界は五十倍。
人ならざるもの、座敷童子の幸に取り憑かれている。幸の存在を魂魄に織り交ぜる〝憑依〟によって人間の範疇を超えた行動が可能となる。〝倍加〟の発動上限も大幅に変化し、並の人外と同格の性能を有す。
人を殺す人外と人外を狩る人との関係を嫌い、双方にとって住みやすい世界を望むが、夕陽の望みに反し忌み嫌う互いはそれを善しとしない。
基本的には優等生なので染色もせず髪も校則に抵触しない無難な長さと型で整えている。ピアスや指輪も論外。
肉親はおらず、日向日和という親兼師でもある女性の世話になっている。現状、彼女以上に強い相手には人外を含め出会ったことが無い。
人外との諍いに飽きもせず介入を続ける夕陽に呆れつつ慌てつつ焦りつつ、日和は夕陽の今後を考え死なない程度の戦闘経験を、仕事という名目で与えることがよくあった。
此度の一件もそんな思惑によって課せられた試練(?)だと本人は言う。
『報酬が出るわ経験も積めるはで悪いことは無い。武器も持ち込み可能なようだから幸もまぁ連れていけるだろう。ついでにこれも持っていきなさい』
そう言って手早く何らかの書類にサインをさせられ、墨汁に浸けたかのような真っ黒い木刀も押し付けられた。いよいよ拒否権は無いのだと悟り、無言で見上げて来る童女を抱きかかえて夕陽はひとまず頷くのみに留めた。
そして、
「よくわからんがすごい嫌な予感がする」
奇妙奇天烈な移送方法の段階で察するべきだった。時空が歪んだり瞬きの内に景色が移り変わるような異常としか思えない展開が常識的に考えてありうるものか。
これ明らかに人外案件だろ。
「試練ってそういうこと?なんか武術の達人から指南されるのかと思ってたのに…詐欺に掛かった人ってこういう気持ちなのかな……」
誰とも会わずに、機械的な合成音声のみの誘導でなんの面白味も無いまっさらな部屋へと通された。音声によれば五分後に戦闘が開始されるらしい。
戦闘て。
「聞いてないよな!試練とは聞いたけどどっちかが死ぬまで続く決闘だなんて言われてなかったよな!なっ幸!?」
「……」
俺の言葉に同意を示すように、紅葉模様の朱い着物を纏う長髪の童女が強く頷いてくれる。
武器扱いは非常に不服だが、この子がいないとまともに戦えない事実は否定できないのが悔しいところだ。出来れば五十倍以内の強化でも相手取れるレベルの敵だと助かるが。
「相変わらず日和さんは説明が足りなくて困る。でも確かにサインした書類にはヤバい単語が並んでた気もするんだよなぁ…怪我や死亡に関して責任を負いませんみたいな。でもサインした途端に拉致じみた方法で連れて来るのはどうよ、いくらなんでも強引過ぎないか?」
「…、…っ」
言葉を発さないが身振り手振りでぱたぱたと俺の意思を支持してくれる愛くるしい少女に甘え、愚痴っている内に秒読みが始まってしまった。残り二十五秒。
「ひとまずやるしかなさそうだから、幸は下がっててくれ。死にそうだったら〝憑依〟頼む」
開始と同時に開くらしき扉に正対し木刀を肩に担ぐ。
(…………ところで)
手に握るコレは強力な破魔の込められた対人外特効の逸品だが、これ本当に相手は人外だよな?もしエイリアンみたいな霊障とか怪異とか無関係の物理特化クリーチャーだったら破魔効かないんじゃない?
「やべえ、幸やっぱ下がんないで!すぐ傍にいてくれお前がいないと俺はどうしようもないかもしれない!!」
「……」
極めて情けない声で助けを乞う。すると幸がふんすと小さな鼻息一つ漏らして腰にしがみついてきた。
頼られて嬉しいのは分かるがその状態は俺に防御も回避も許さない縛りプレイを強要させているので事態は悪化の一途を辿っているに等しい。
残り八秒。これは戦闘開始前に詰んだかもしれない。
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