第47話 言ってしまった

中学1年生の冬。


3学期の初めに席替えを行なった。心なしか、男子たちの一部がジロジロとこっちを見てくる、気がする。



私は、男子を『魅了』することが出来るみたいだ。


この『チカラ』にいつ気づいたかは分からない。中学校に上がった、多分そのくらいだ。


この『チカラ』には『条件』があるみたいだ。


いま分かっているのは、私に礼を言われた男が『魅了』されるということだ。家族や、親戚は例外らしい。


そして、『魅了』される年齢の範囲があるみたいだ。思い返すと、年齢差は3歳まで。それ以上、それ以下の人には発動しないみたいだ。数えきれないほどの被告白経験が確信させる。


だから私は、「ありがとう」という事が怖くなった。


男子とも、自分からあまり関わらない。




活発な男子たちが、彩音と一緒に話しているところにやってくる事が多かった。


クラスでも人気者の二人組。サッカー部の武井と野球部の友永。

特にこの2人とは、2学期の間、班が同じだったので給食の時間や、総合学習の時間のグループワークで談笑していたから、仲良くなった。



3学期で、席が替わっても、休み時間や部活のない日は、4人で帰る日もあった。


話題は、最近の芸能人や部活の話、冬休みは何してたか、とかいろいろ。


ある日、事件が起こった。



仲良くなると必ず、お礼を言うタイミングが訪れる。


だから私は、言ってしまった。


友永に。



彩音が、ずっと好きだった男に。

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