第17話 決意

水曜日の朝、僕はいつもの通学路を自転車で走る。

目がほんのりと赤く腫れている。あとは、喉が痛い。





「大丈夫?」

昨日の夕方。

さっきまで大号泣していた僕の身を案ずる片岡さん。勇気を出して思いを打ち明けてくれたのに、こんなに泣きはらして、情けないし、本当に申し訳ない。



「こんな僕でいいなら」

僕は、片岡さんと付き合うことになった。



いや、付き合えた。




丘の上からは、そこそこお店が建ち並ぶ商店街やマンション、街路樹、あとは沈みそうな夕日が見える。

僕は、決意を固めたように、大好きなロックバンドのボーカルが曲の最後を歌い切るみたいに、丘のふちに立って叫んだ。





「僕はもう、自分の都合で人を拒絶しない!!」


「自分のために『拒絶』もしなーーーーーい!!!!!」





僕はちっぽけな人間だ。得意なことなんて何もない。

でも、もう1人じゃない。

心を許せる人がいる。


これからは、大好きな人のために、人を守るために、このチカラを使う。

そしてこれからは、体育の自由時間にも数学の勉強にも、とにかくいろいろ、何にでも立ち向かってみせる。


そう決意した。

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