海は空を映し、空は海を輝かせる
@sigil
1話 再会は衝撃的に1
何て事だろう。
晴れて高校生となったボク、
高校生活が楽しみで寝付けなかったなんて、まるで子供みたいじゃないか。
兎に角走る。全力で走ればギリギリ間に合うはずだ。
朝食を食べている暇なんて無かったので、支度中にトーストした食パンを咥えて家を出た。
典型的な遅刻の描写ではあるが、あれは「ちこくちこく~」とか言いながらだらだら走るわ角でぶつかって一悶着するわで余裕があるに違いない。
余裕がなければ全力で走るし、全力で走っていれば咥えたパンなんて自身の重みと振動で折れる。数分前に学んだよ。
尚、落ちたパンを拾おうと足を止めた時には黒い塊が一斉にパンを覆い、次の瞬間には跡形もなく消えていた。都会マジックすごい。
道半ばの辺りで、お父さんから入学祝いで貰った男物の腕時計で時間を確認する。
タイムリミットまで後10分。
このまま行けば何とか間に合うだろうか?
良かった。そう安堵してしてしまったのがいけなかったのか。
これもお約束なのか、角から人が現れた。距離にして僅か3歩。
全速前進の3歩だ。
「――ッ」
避けてと、叫ぶために口を開く。1歩。
こちらに気づいたその人の、その顔に既視感を覚える。1歩。
会ったことがある。幼い頃、よく遊んだ彼にそっくりだった。1歩。
「
彼の名前を呼び、そして、
全身全霊のタックルは彼を10メートルは弾き飛ばした。
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