60.神聖なる学舎に獣を連れてくるのは如何なものか
「ああ~ん、もう!今日もすっごい美味しい!こんなに美味しいお弁当食べれて幸せ!私のためにいつもありがとう!大好き!」
エビフライ巻き寿司、キャベツのしゃきしゃきとタルタルソースが絶妙で美味しい。
エビフライはそのまま食べても美味しいが、こうして巻き寿司にしても美味しいんだね。
次は照り焼きチキンの巻き寿司食べよう。こっちはレタスと一緒に巻かれてて、これも美味しい。
次はーーさりげなく渡されたケチャップ風味の野菜炒めを見る。ハム、ピーマン、玉ねぎ、セロリ…
見なかったことにした。
「野菜も食べなきゃダメだ。」
「ええ~、セロリ嫌~い。でも分かった!嫌いだけど、野菜は食べなきゃだよね!」
箸で摘み三原君の口元へ。
「…」
「…」
無言で見つめ合い、先に折れた三原君がそれを食べた。
ツナとキャベツの卵焼き、ラディッシュと大根の甘酢を食べ、野菜食べましたアピール後、茄子とチーズの豚ロースカツを食べた。
「茄子ってそんなに好きでもないけど、これ美味しいね。」
「そっか、それは良かった。これも美味しいから食べてみて。」
渡されたのは
「これすっごく可愛い!」
輪切りにしたパプリカの中に、パセリを散りばめた卵焼きだった。
「可愛いだけじゃなく美味しいわね!」
何これ、嫌がらせ?私に対する嫌がらせなの?
「…三原君、覚えてる?」
「ん?」
「甘くて美味しいから、騙されたと思って食べてみなと三原君が言うから食べたら、結果騙されたあの出来事を。」
「いや、騙してないよ?パプリカは甘くて美味しいよ。」
「うん、パプリカ美味しい!」
「全然。」
卵のみ食べたらパプリカの味がガッツリ染みていて不味かったーーので若干イラッとなった。
「三原君。」
「ん。」
「学校にペットのゴリラを連れてくるのはどうかと。」
「俺のじゃない。」
じゃあ何故三原君の横で昼休みを過ごしているんですかと、問おうと思ったが止めた。
口直しにウナギとアボカドの巻き寿司を食べ、海老とハンペンのナゲットを食べたが、何だかちょっと美味しくない気がしたのは、多分パプリカのせいだろう。
バンッー
「ねぇ、いつまで誘い続ける気なの!?私に嫉妬させるためだって分かるけど、いい加減にしてよ!もういいでしょ!」
ゴリラパワーでテーブルばーん、からの大声。
最初から注目してた生徒に加え、今ので更に注目が増した。
茹でたキャベツの梅干し巻きを食べたら、やけに酸っぱい。
「ハチミツ梅じゃないね。」
「間違えました。」
お弁当を食べていてふと気付く。食べようと思ってまだ食べていなかった長芋と青じその甘辛肉巻きが、いつの間にか一個だけになっている。ーーそしてそれはゴリラの口の中へ。
私の肉巻き…肉巻き…まだ食べていなかった私の肉巻き…
三原君が自分のお皿にあった肉巻きを、素早く私のお皿へとのせた。
見つめると何故かちょっと顔が蒼かった。お腹でも痛いんですか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。