◆ある日の双子◆



豚肩ロースを千切りして叩いてボールに入れたら、粗びき胡椒入れて混ぜ混ぜ。塩入れて混ぜ混ぜ。胡麻油入れて混ぜ混ぜ。



粘ってきたかな?うん、きたきた。



「アワビに添えるフカヒレあったかな?あ、あったあった。良かった。んじゃ、アワビが煮えるまでに、餃子の皮作っちゃおっと。」



餡を作ってる横でなずなが、冷蔵庫から生地を出して、手早く皮を作っていく。



餃子何種類作ろう?



刻みオクラ、ざく切りアボカド、海老、ザーサイ、あとは定番の餃子にしようかな。



出来上がっていく皮に包んでいく。




肉使わない系も作ろう。



納豆キムチ。下味つけたホタテと千切りシソ。トマトと大葉とスライスチーズはクルクル巻いて、オクラとチーズは春巻っぽくして揚げよう。




「ねぇ、すずな。やっぱりスイーツはいるよね?」


「チョコとチョコバナナのスイーツ系揚げ餃子も作るけど、あった方いいと思う。」


「了解~。」



なずながスイーツに必要な材料を用意していく。



マンゴー、生クリーム、グラニュー糖、等々…。どうやらマンゴープリンを作るらしい。



「もしかして、この前行ったマンゴープリンが有名な店のヤツ?」


「そだよ。」



僕らの舌の味覚センサーは、舐めたり食べたりすれば、どんな成分とか解かっちゃう。ただ、料理本や料理番組で、分量がハッキリしないヤツが苦手だった。少々とか意味解んない。


少々の意味は解るよ、勿論。でも、いざ入れようと思っても、塩をどれくらい入れれば少々になるのかが解んない。何回も作って舐めて、料理ごとの適量塩加減なんかを習得したんだ。偉いでしょ?今はバッチリだよ!




エビチリ用の海老用意しよっと。


大きくて立派な海老の殻と背わた取って、合わせ調味料に漬けておく。



「そう言えば、林檎とサツマイモを皮で包んで揚げたら美味しいらしい。」


「じゃあ、それも作って。」

「了解~。」



水に粉ゼラチンを浸けて待つ間、なずなはサツマイモを切って蒸したり、切った林檎を弱火にかけたりしてる。




僕は海老が漬かるのを待つ間、厚揚げの麻婆仕立てでも作ろうかな。





厚揚げを油抜きする熱湯が準備出来るまでに、ニンニクと生姜をみじん切りしておこうっと。




厚揚げを油抜きして切って、熱したフライパンにみじん切りを入れ、弾けるニンニクと生姜を炒めつつ、挽き肉投入。


ちょっと炒めて味噌入れて。鶏ガラスープ投入っと。




横ではゼラチンの準備が出来、水溶きゼラチンと水溶きグラニュー糖を合わせながら、同時進行でマンゴーピューレを作ってる。





そろそろ良いかな。


醤油に砂糖、オイスターソースで味付けて、さぁ、厚揚げさん出番ですよっと。








転移ドアで、寮の僕たちの部屋に帰宅して、即ベッドにダイブ。


「…」



今はまだ学生で、生徒会なんてめんどい仕事もあって忙しいから、休日しか主の為に料理作れない。



限られた日だって、デートと言う名の情報収集が入っちゃえば、それもままならない。



「てやっ!」

「うわっ、ちょっ、なずな!」



なずなが僕にダイブしてきた。


僕と同じ狐色の、ふわふわした緩い天パの頭を、お兄ちゃんぽく撫でてやれば、黄みの淡い緑の瞳が、少し不満気になる。



「お兄ちゃんぶるな!」

「だってお兄ちゃんだも~ん。」



僕の方がなずなより、ちょっとだけ早く造られた。だから僕がお兄ちゃんさ。



「なんか納得いかない。…あ~あ、早く卒業したいな。」


「僕だって同じ気持ちだよ。」



ほんと、早く卒業したい。

毎日主に美味しい物作って、食べてもらいたいな。



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