すぴりっと〜双子のほのぼの成長記録〜

touhu

第1話

この世界には多くの生物が住んでいる。しかし、遥か昔その世界の環境は過酷なものであった。その中で多くの生物が生き残るためには環境を操ることのできる存在が必要不可欠であった。そして環境を整えるための生命が誕生した。これが後に「精霊」と呼ばれる存在である。


しかし、精霊だけで環境は改善されたがまだ生物が住みやすいとは言い切れなかった。精霊が環境を整えている間に数少ない生物たちは、少しでも数を増やす為に進化を繰り返していった。


これにより多くの生物が適応する事により多くの生物が住むことができ、世界が廻り始めた。その多くの生物の中で人間は様々な進化をしてきた。その環境に合わせた色々な特徴を有する姿に変化していった。これが「亜人」と呼ばれる物である


そして現在・・


「・・・・・・起・・きて。」


ゆさゆさと誰かが体をゆすっている気がする。


「・・・・・・起きて。」


あぁ、眠い。体だるいし頭も働かない。


「紫苑は朝に弱いなぁ、早く起きて。 んっ。」


唇に柔らかい感触と共に甘い香りをほのかに感じる。唇を通して暖かい何かが体を満たしていく。


体を満たした何かのおかげで少しずつ目が覚めてきた。くわぁ、と欠伸をかいて体を起こす。


「・・おはよう。姉さん。」


目を開けた先には、いつもの笑顔があった。僕の双子の姉の白雪ゆりがサファイアの様に青く綺麗な瞳で見つめていた。


「おはよう、紫苑シオン。」


そんな姉さんの笑顔をよそに再び目を閉じて布団の中に逆戻りする。


「もう、二度寝しないの。それとももっとしたいの?」


「んー・・・・。」


「あぁ、完全に二度寝したわね。仕方ないまた後で起こしに来るわ」


そう言って僕の部屋から出ていった。お布団さいこー、ぐぅ。



「ゆり様おはようございます。紫苑様は起きられましたか?」


「ん、おはよう薫子かおるこさん。いつもと同じく二度寝しちゃった。」


「やはりですか、私がここに来てから毎朝変わりませんね。今年からここを離れて高校に入学するというのに。」


そう言って心配そうにしているのは、この場所で唯一私たち双子のお世話係をしている楠 薫子さん。


「もう少しで紫苑も安定期に入ることだし、今までより寝てばかりっていうこともなくなると思うよ?」


「そうなってくれると嬉しいですね、紫苑様はどの様なお姿に変わられるのでしょうか。今からとても楽しみでもありますね。」


「私は髪の色と目の色が変わっただけでその他はたいして変化してなかったわ。あ。でも、お母様達はもしかしたら性別まで変わるかも、とも言ってたわね。」


「そうなったら紫苑様に合う可愛いお洋服を用意しなければなりませんね。」


「流石、可愛いものには目がないわね薫子さんは、まあ私はどんな姿になっても愛することができるから問題なけどね。」


「本当にゆり様は紫苑様が大好きでいらっしゃいますね。お二人がどのようなことになっても私たち一族は一生仕える所存ですので、自分の心に従って行動してください。でもなるべく環境を変化させることだけはやめてくださいね。」


「わかっているわ、お母様達がせっかく整えた環境なんですものそうむやみに変えたり出来ないわ。でも紫苑のためなら変えちゃうかも?」


薫子さんと談笑しながら朝食の準備をしていく。基本的に薫子さんが家事のほとんどをしてくれているので私はちょっとしたお手伝いをするだけ。


もちろん家事全般は習得しているので私が出来ないのではない。まぁ、紫苑は察しての道理寝てばかりなので家事のほとんどが壊滅状態である。


そうこうしているうちに紫苑を起こしに行かなくてはいつまで経っても朝食が片付かない。


「そろそろ紫苑を起こしに行ってくる、後はよろしくお願いね薫子さん。」


そう言っていつもの朝が過ぎていく。

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