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「オムニバス作品と言ってもラブコメだからね。俺と同じくらいのおじさんとか見つけられなかったよ」
「女子高生とか多かったですよね。私も春休みだったので囲まれました」
若い子に囲まれるのって電車か映画館くらいでしかないかも。ちょっと悲しい?
「ちょっと場違い感あるけど、始まっちゃったら平気だしね。終わったらみんなが出るまでゆっくりしていたらいいし」
「そうですね。私、結構他のお客様の感想とかつい聞いちゃうんですよね。ダメだとは思っているんですけど、勝手に耳が拾っちゃって」
エンドロールも終わって一瞬の暗闇から照明がついて明るくなった瞬間、ヒソヒソと感想を言い合うのとかどうしても聞こえちゃうじゃん?
「あ、分かるー、俺も聞いちゃう。んで、同じ感想だったら、そうそう、そうだよねー! って心の中で返してる」
「ふふふ、私も同じです」
んで、違う感想だったら、なるほどそう言う考え方もあるよねー、って思う。映画の感想って人それぞれだから面白い。
「さすがに若い子に話しかけたりなんかはできないけど、映画を通していろんな人とも知り合いになれるし。こうやってマスターに会えたこともそうだしね」
「ふふ、そうですね」
映画鑑賞が趣味だって行った時のミカドさんの顔、今でも忘れないもん。少年みたいに目を輝かせて喜んでくれたから。
「ねー。だから映画って面白いよね」
「ですね」
「いろんな世界を体験できるし、いろんな人も見られるし、いろんな話も聞けるし。楽しいね」
本当にミカドさんは映画のこととなると楽しそうに話すから、聞いているこっちまで楽しくなってくるんだ。
「映画がある世界に生まれて良かったね」
「はい、そうですねっ」
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