星に心を

@yayoiyayo

第1話

――その夜は土砂降りの雨が降っていた。

その時の俺は橋の上から流れの荒い川を見ていた。

意味もなくただなんとなく眺めていただけだった。

ふと下の方を見ると見慣れぬものが目に入った。

とても大きな箱が流れ着いてるようだ。

俺は水たまりを避けながら箱の方へ近づいて行く。

ただの好奇心だった、俺は恐る恐る箱の中身を見る

もしかしたらこの箱の中にあるものが俺を取り巻く生活を変わらせてくれるかもしれない。

そんなありもしない幻想を抱きながら………



『…両国の軍は未だにお互いの出方を伺っているという現状で大きな動きを見せることはありません。』

俺は興味のないことを話しているラジオを消して研究に取りかかる。

大陸戦争、今現在俺の住んでいるイストラ帝国とその隣にあるヴァリチキア王国の2つの国による戦争が行われている。

30年間も続く戦争だが未だに終戦する兆しが見えない。

俺はこの戦争で両親を亡くしている。

戦闘に巻き込まれ死んだ、らしい。

当時の俺はまだ赤ん坊でこの話は他の人から聞いただけなのだが。

1人で取り残されていた俺を誰かが孤児院に預けてくれてそのまま孤児院で育てられいい歳になったので孤児院を出て親が残していた工房で研究をしながら商売をしている。

たまに来る客の注文の通りの品物を作って暇な時は研究をする。

そんな生活をこれからほぼ毎日続けていくのかと感じる時がたまにある。

俺はきっと一生こんな生活を続けていくのだろう。



気がつくと土砂降りの雨が降っていた。

流石にこの雨では客も来ないだろう。

工具を片付け店の中を掃除し始める。

客があまり来ないのでそこまで散らかっているわけでもないのだが。


掃除を終えるとグゥーと自分のお腹が空腹を主張してきた。

たしか買いだめて置いた食べ物は無くなっていたはずだ。

俺は窓から外を見て溜息をつく。

この土砂降りの中買い物に行かないといけないと思うと気が滅入る。

俺はタンスから合羽を出し羽織る。

ドアを開けると雨粒と風に襲われる。

寒い。

急いで買い物を済ませてしまおう。


右手に食材のたくさん入った袋を持ちながら帰る。

店主がおまけと言って沢山食べ物をくれたのは嬉しいがこの雨の中こんな重い物を持ち帰るのは少し辛い。

まぁ雨は先程に比べればマシになっているのだが。

「明日にはやんでくれるといいが…」

そう呟きながら橋の上から荒れた川を見下ろした。

ふとしたの方を見るとかなり大きな箱が流れ着いていた。

なんだろうか。

いつもならあまり気に止めはしないはずなのだが何故かそれに興味をもっていた。

水たまりを避けながら下の方へ行く。

箱を引き上げる。

思っていたよりも重い。

近くで見ると箱は俺の身長より少し小さいくらいの大きさだ。

かなり厳重な作りになっておりご丁寧に防水効果のある薬を塗られているようだ。

これなら中に水が入っている心配はないだろう。

きっととても大事な物が入っているに違いない。


俺は箱を開け恐る恐る中身を見た。

「えっ…」

間抜けな声が出た。

あまりにも非現実的なことでこの状況を受け止められない。

なぜならその箱には女の子が入っていたからだ。








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