第19話 王宮
エオナイに入る最初の城壁の門の前に来ると、レアソンの従者の一人が馬から降りて門に立つ兵士に声をかけた。マルケがイラステーのそばに馬を寄せて囁くように告げた。
「私から離れるな。」
イラステーはマルケの顔を見て静かに頷いた。
従者と話す番兵とイラステーの目が合った。イラステーの心臓が跳ねたが表情に出すまいとした。その時番兵の口もとが読めた。
あの者は誰か、と確かに言った。従者が振り返りイラステーを見る。何事かを話し、番兵は渋い顔をした。何度かのやり取りがあって従者がレアソンの元に走る。レアソンは事情を聞いて馬から降りた。イラステーの背中に冷たい汗が流れた。今すぐマルケに何事かを尋ねたかったが、今混乱する姿を見せれば怪しまれることはわかっていた。イラステーは表情を崩すまいとした。レアソンが番兵と一言二言話すと番兵は敬礼した。この一行の正体を知ったようだ。レアソンが再び話をすると番兵は再び敬礼し、入り口を指した。レアソンと従者は頷いて馬の元へ戻った。イラステーは今すぐレアソンのもとに駆け寄り、何があったのか尋ねたかったが今はだめだ、と何とか堪えた。一行はゆっくりと門を潜った。
門から遠ざかった所で馬上からレアソンに質問した。
「何か問題でもありましたか。」
レアソンは口角を上げて笑った。正面から目を離さず説明してくれた。
「通行許可の確認が取れなかっただけだ。こちらに戻る際に増えるのはクレウス殿だけだと思っていたからね。」
つまりイラステーという予定外の同行者の分の通行許可が下りていなかったということだ。
「どうやって許可頂けたのでしょうか。」
「それを聞いたところでどうにもなるまい。許可は下りた。それでよい。」
イラステーは項垂れた。
「申し訳ありません。」
「いつもならもう少しすんなりゆくのだが、最近は物騒になってしまったからね。」
レアソンはフォローのために言ってくれたのかもしれないが、イラステーは更に沈んだ。機密事項なのでレアソンは口にはしないが戦争が始まろうとしている中でエオナイへの出入りが厳しくなっているのだ。そんな中で無理矢理ついて来た自分の身勝手さをまた自覚させられた。しかし今さら引き返す訳にはいかない。
イラステーは気を紛らわせようと生まれて初めて見るエオナイの街を観察することにした。
日も暮れようとしているので人通りはまばらだ。それでもエオナイの街は大きく建物は隙間なく並んでいた。昼はきっと商店や多くの人で賑わうのだろう。イラステーはそばにいたマルケに質問をした。
「お師匠様は村に来る前はこの城下で暮らしておられたのですか?」
何気ない調子で質問する。
「ああ、そうだ。」
あまりにあっさり答えてくれたので内心驚いた。少し励まされて質問を続ける。
「ご家族はいらっしゃるのですか?」
「いや、私の一族はもうどこにもいない。昔に父母ともに亡くなって私は天蓋孤独の身だ。」
イラステーは慌てて謝罪した。
「謝ることはない。もう昔の話だ。」
マルケは平静に話を続けた。
「私はここらに居をかまえていた。今はどうなっているかわからないがな。」
イラステーは好奇心を抑えられなかった。
「大きなお屋敷だったのですか?」
マルケは少し笑うと、遠くを見て記憶を探るような顔になった。
「確かに大きかったな。維持が大変だったくらいだ。」
マルケが過去の話をこうあっさりと話すのでイラステーは今まで尋ねたくてもできなかった多くの疑問を口にしたくて仕様がなかった。イラステーが口を開きかけたところで、今度はマルケがイラステーに質問をした。
「お前はどこでナナマ殿と打ち解けたのだ。」
イラステーは不意の質問に虚を突かれた。先ほどの会話で二人の関係の変化に気づいたのだろう。イラステーは努めて何気ない調子で答えた。
「今日の朝です。」
マルケは正面を向いていたが、眉があがったのが見えた。
イラステーは素早く説明を加える。
「朝早くに目が覚めてしまい、お腹が減ったので外で夕食を食べていたらナナマ様が出てこられて、少し話をしたのです。」
「失礼はなかったろうな。」
「そう思います。」
ならよい、と呟いて話は終わった。イラステーは内心安堵したが、質問のタイミングを失い、多くの疑問は解消されず終わってしまった。一行は静かに王宮へ向かった。
緩やかな坂を登っていくと大きな屋敷が増えてきた。全て塀で囲まれているので中を除くことはできないが入り口と次の入り口が相当離れているのでそれぞれ大きな敷地であることがわかる。ここらはおそらく高級住宅地で貴族の屋敷が並んでいるに違いない。それぞれの入り口に門番がいるのもそのためだろう。イラステーは胸がどきどきしてくるのがわかった。ラドゥケスは貴族の出身だ。もしかしたらこの屋敷のどれかが彼の一族の物かもしれない。イラステーは彼にばったり会うかもしれないという期待で落ち着くことができなかった。イラステーは行きかう人をつぶさに観察した。しかし日が完全に沈み、そばにいるマルケたちの顔もわからなくなったところで、結局ラドゥケスらしき人物には会えず王宮の大きな城壁にたどり着いた。
レアソンの従者の一人が馬から降りて城壁の門の前にいる衛兵と話をする。松明に照らされて兵士の鎧はてらてらと光っていた。とても立派な甲冑に違いない。皇帝陛下の兵士が他とは一線を画していることがわかる。イラステーが兵士の姿から目が離せないでいると、いつのまにか入城の許可が下りていて一行は開かれた門へと入っていった。
門を潜ると大きな城が月夜の中で黒い影となってイラステーたちを包んでいた。馬上でイラステーは体を巡らせ、城の全貌を掴もうとした。一周したところで全員馬から降りていることに気づき、イラステーも慌てて皆に倣った。灯りを持った数名の男たちが城から出てきた。男たちに向かってレアソンが呼びかけた。
「ナナマが戻ったと伝えよ、早急に陛下に御目通り願いたい。」
「はっ、ただいま!」
1人の男が素早く答えると城の中へ走っていった。残された男たちはこちらに向かって来る。顔がわかるほどに近づくと、服装から身分の高い文官のように見えた。レアソンの従者たちがすかさず膝を折った。イラステーも慌てて続いた。会話は頭上で続いた。
「ナナマよ、よく戻った。予定より大分早かったようだが、これは…。」
「ケンテラか…?」
気づくと横に立つマルケが声を上げていた。イラステーは思わず面を上げた。ケンテラと呼ばれた初老の男はゆっくりとマルケの方を向いた。彼の横で明り取りを持っていた男がケンテラとマルケの間に明かりを差した。ケンテラは顔に皺を刻み驚きの表情を浮かべた。
「マルケ…なのか?」
マルケはゆっくりと頷いた。するとケンテラは喉の奥から声にならぬ声を出してマルケを抱きしめた。
「よく戻って来た!本当によく…!」
マルケは静かに彼の抱擁を受け入れていた。
ケンテラはゆっくりと体を放して、レアソンに顔を向ける。
「本当によく連れてきてくれた。お前は見込みのあるやつだ。」
レアソンは深々と頭を下げた。それを見て頷くと、マルケに視線を戻した。
「ちょうど今、元老院会が終わったところだ。すぐにでも陛下にお会いした方がよいだろう。」
マルケは驚いた表情を浮かべた。
「お前は元老院になったのか。」
ケンテラはにやりと笑った。
「そうだ。私が今や元老院長だよ、マルケ。あれから⒑年だ。いろいろなことがあった。」
「そうだな…。」
そういったところでマルケはイラステーを見た。
「イラステーよ。立ちなさい。彼は私の旧知の友だ。ケンテラ・アイダロスという。」
「彼女は…?」
伺うように立ち上がるイラステーを目で追いながらケンテラは問うた。
「私の娘だ。」
ケンテラは驚いてマルケを見た。イラステーも同じ反応をしてしまった。
「どういうことだ?エタンキアとの間には…。」
マルケは妙な咳払いをした。マルケにしては下手な誤魔化しだ。イラステーはケンテラの言った女性の名前を聞き逃さなかった。エタンキアとは誰なのか。
「…まぁよい。とにかく一刻も早く陛下に謁見願おう。」
マルケは静かに頷いた。マルケはレアソンを見た。
「イラステーをどこかで待たせてはくれないだろうか。」
レアソンが何か言おうとしたところでケンテラが答えた。
「おそらく陛下より部屋を賜るだろうが、それまでは私の部屋で待つとよい。」
「ありがたい。」
「私が案内します。」
マルケはレアソンに向けて頷いた。そしてすぐにマルケは踵を返してケンテラとともに王宮の中へ入っていった。
イラステーはマルケに声をかけることもできず呆然と立ち尽くしてしまった。イラステーはゆっくりとレアソンを見た。
「では参ろうか。」
イラステーは我に返って頭を下げた。知らないうちに馬は消えていた。従者もいない。知らぬ間にレアソンが指示を出したのかもしれない。イラステーはレアソンについて王宮に向かった。
王宮はイラステーがおよそ見たことのない重厚感を漂わせていた。松明に照らされる壁は美しいというより、堅牢で何ものも寄せ付けない雰囲気がある。人生でこのような建物は見たことがないとイラステーは思った。イラステーはレアソンからはぐれないようにぴたりと後ろについて歩いた。一人になったら大変なことになる。旅装束で王宮を歩き回る女など妖しいだけなのだから。しばらく歩くとある扉の前に着いた。そこにも衛兵が一人立っていた。イラステーの胸は飛び跳ねた。衛兵はアカメイルだった。だがラドゥケスではない。イラステーは思わず衛兵の顔をじっと見てしまった。衛兵と目があったのは一瞬のことで彼はすぐレアソンに目を向けた。
「アイダロス様の客人だ。しばらく二人で待たせてもらう。」
衛兵は敬礼すると扉を開けた。レアソンは慣れた様子で部屋に入った。イラステーもすぐに後に続く。イラステーは頭を下げて中に入ったが視線は扉を支える彼の手に注がれてた。浅黒い肌。懐かしい色だった。後ろ手に扉が閉まるとイラステーは妙な解放感を感じて少し安堵した。しかし目の前に上級官吏がいることをすぐに思い出した。イラステーは姿勢を正した。部屋を見回すとそこには簡素な書棚と文机があった。何となくマルケの書斎を思い出させる。部屋に入って右手の壁にカーテンが掛かっている。まだ奥にも部屋があるようだ。ここは応接間といったところだろうか。イラステーが部屋を見回していると、マントを預かろうとレアソンが手を差し出して来たがイラステーは恐縮して辞退した。レアソンにそんなことはさせられない。イラステーは慌ててマントを脱いで丸めると肩にかけていた背嚢といっしょに床の隅に置いた。マントを脱ぐとレアソンはイラステーの腰のあたりを見て驚いた。
「マントで気付かなかった。そういえばそなたは剣を操るのだな。」
イラステーは自然に彼の視線の先にある剣に目を向けた。あまりにも馴染んでいたので自分でも帯剣していることを忘れていた。
「はい。」
ラドゥケスからイラステーのことを聞いているなら、イラステーが剣術の心得があることは知っているだろう。確かに女性が剣術とは一般的ではない。
「それは預かっておこう。クレウス殿にあったらすぐに渡して置く。今の情勢では王宮の武人以外が武器を所持していることは歓迎されない。」
イラステーはすぐに剣の紐をほどいてレアソンに渡した。ここであらぬ疑いや事件を起こせばマルケに迷惑がかかる。大事な剣だが躊躇はなかった。レアソンはそれを持って奥の部屋へと消えたが、すぐに戻ってきた。所在無げに立っているイラステーを見て、座りなさい、とそばにある座椅子を差した。イラステーは高官を目の前にして座ってよいものか迷った。
「ありがとうございます。しかし私は大丈夫です。」
レアソンはイラステーの思考を読み取り、ふと笑った。
「イラステーよ。私は今朝私の考えを話したはずだ。気を張る必要はない。少なくとも二人の時は。そして私はそなたを預かっている身でね。君に落ち着いてもらわないと私が困るのだよ。」
イラステーは仕方なく席に着いた。
「ありがとうございます。」
それを聞いて頷くと、レアソンは先ほど入って来た扉を開けて赤エイルの衛兵に何事かを伝えた、そうして扉を閉めると自身も腰を下ろした。
「お腹が減っているだろう。何か持ってくるように頼んだから少し待つとしよう。」
イラステーはそれを聞いて今朝、宿の中庭で食べたのを最後にまともに何も食べていないことを思い出した。昼に馬を降りて少しパンを齧った程度であった。あまり食欲がわかず食べられなかったのだ。おそらく緊張で空腹など感じる余裕がなかったのだろう。しかし今は少しなら口に入るはずだ。イラステーは今日の記憶に気を巡らせていると、今朝レアソンに尋ねようとしてできなかったことを思い出した。これが本当に最後のチャンスかもしれない。向かいに座るレアソンに視線を合わせた。イラステーがこちらを見ていることに気づきレアソンは顔を上げる。
「どうかしたか。」
イラステーは口を開いた。
「このようなことをお尋ねしてよいものかわかりませんが…。私の師匠のことでございます。クレウス様は王宮に仕えてらしたのでしょうか。」
レアソンはしばらく何も答えずイラステーを見つめた。
「クレウス殿はそなたに何も伝えていなかったのだな。」
「はい。」
レアソンはイラステーの背後に視線を向けた。何かを考えているようだ。
「クレウス殿がどういうお考えで何も話していないのかわからないな。」
イラステーはレアソンが口を閉ざす前にまくしたてるように話を続けた。
「私もわかりません。お師匠様がエオナイに暮らしていたことはおろか、ハバシルに来る前のことは全く語られませんでした。しかし私はこうしてお師匠様について来ています。今回、陛下のお召しを受けられたことで何かお気持ちが変わられたのかもしれません。」
ふぅん、とレアソンは顎を手でなぞり、何かを考えているようだった。イラステーはずっと考えていた疑問を口に出した。
「ナナマ様はご存知でしょうか?その…どうして、クレウス様は
エオナイをあとにしたのか…」
レアソンはイラステーに視線を戻した。そしてゆっくりと話し出
した。
「私も知っていることはそう多くはない。そしてそのほとんどが口伝えにきいたことばかりなのだ。クレウス殿がそなたに何も語っていないならば、私からは話さないほうがよいのかもしれない。彼はもしかしたら、あの村で過去を捨て、別の人間として第二の人生を生きるつもりだったのかもしれない。」
イラステーは呟くように、そうですね、とだけ言った。レアソンに答える気がない以上イラステーはそれ以上何も言えなかった。そして納得できない気持ちを顔に出さないように努めた。しかし頭の中には言葉とは裏腹な疑問が浮かんだ。
マルケは本当に過去を捨てるつもりだったのだろうか。ここへの道程、馬をかる師匠の後ろ姿に迷いはなかった。まるで昨日も通った道のように。イラステーの脳裏にひとり馬に跨り王都をながめるマルケの姿が浮かんだ。この10年何度もこの道を通ったのではないだろうか。そしてこんな日が来ることを予見していたのかもしれない。いつか過去に呼び戻される、そんな日を。
イラステーが物思いにふけっているとドアがノックされた。イラステーが慌てて立ち上がると、レアソンが手で静止した。
「誰だ。」
「食事をお持ちしました。」
ドア向こうからくぐもった返事が返ってくる。
「入るがよい。」
扉が開くと、数人の使用人が入って来た。
「クレウス殿のことよりも気になることがあるのではないか。」
イラステーは並べられる料理に目がいって返事が遅れた。
「は、はい。」
レアソンは笑った。
「まずは食事にしよう。」
イラステーは顔が熱くなった。料理は急ごしらえにしては驚くほど豪華で、これでも貴族には間に合わせの料理に違いないが、平民には催事の食事のようであった。冷えたチキンに見たことのないソースがかかっている。平らなパンの横にバターがたっぷり添えられていた。お酒もある。イラステーは欲望を抑えてレアソンに従って食事を取った。人生で食べたことがないほど美味しい食事だった。家族に食べさせてあげたいと思った。
食事もそこそこにレアソンが話し始めた。
「ラドゥケスのことはどうするつもりなのだ。」
イラステーはほっとした。貴族は食事中に話をしてはいけないのかもしれないと思っていたからだ。
「まだ何も…。自分で探せればよいのですが。ここで自由に歩き回ることはクレウス様にご迷惑をおかけすることになりますので、結局はクレウス様にお力添え頂くしかないかと…。」
「そうだな。」
イラステーはレアソンにラドゥケスが王宮にいる可能性を尋ねようと思ったが、止めた。いたとしてもマルケの采配なしには会えないのだから。
レアソンは酒杯を干すのを見てイラステーは間をおかずに酒を注ぐ。注ぎながら心はここにあらずだった。
イラステーは妙な焦燥感に駆られていた。勢いでここまで来たものの結局のところ、一人では何もできないのだと痛感した。早くマルケに戻ってきて欲しい。早く何か情報が欲しい。イラステーの人生でこんな風に受身であることがほとんどなかっただけに、この時間は苦痛であった。今までは困ったことがあれば、解決のために自分で道を切り開いてきた。動かずにはいられない、それが彼女の性分だった。
そして、強い孤独感にも苛まれていた。今まで身近にいた人たちが、自分の人生において、おおよそ関わることのない国家規模の事象に関わっている。まるで自分が取るに足らない矮小な存在に思えてくる。イラステーは扉を見つめた。今、礼儀や戒律を無視し、ここを飛び出せば、求めるものはすぐに見つかるかもしれない。
だが本当は、この窮屈な場所から逃げ出したいのではないかとも思えた。そう思った瞬間体がピクりと痙攣した。
「大丈夫か。」
レアソンが気づかわし気にこちらを見た。
「はい。」
イラステーは強張った笑みを浮かべた。
「今になって恐ろしくなったか。」
イラステーは戦慄した。レアソンは困ったような笑みを浮かべた。
「本当に面白い娘だ。都を目の当たりにした時や入城した時には平然としていたのに、今さら恐ろしくなったか。」
「恐れてなどいません。」
イラステーはできるだけ平常心で答えた。レアソンは笑った。
「いいや、恐れている。気持ちはわかる。娘一人が意気込んで王宮まで乗り込んで来たんだ。自分のしたことが理解できれば震えも奔るだろう。」
イラステーは顔が熱くなった。馬鹿にされた気がしたからだ。イラステーは口をきつく結んだ。貴族相手に失言を吐けば大変なことになる。だがレアソンはイラステーの心中を察して弁解した。
「イラステーよ。落ち着きなさい。言っただろう。私はそなたの味方だ。ラドゥケスとは結ばれて欲しいと思っている。その思いは真実でそなたを愚弄する思いは微塵もない。だから落ち着きなさい。力になりたいのだ。」
真摯な表情にイラステーは嘘ではないと思えた。彼が味方だと思えば突然部屋が温かく優しい場所に思えた。イラステーは少しだけ不安が収まった。
「ありがとうございます。」
イラステーはまた扉を見た。早く彼に会いたかった。
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