河童の恋

隣の佐藤。

第1話

人間が溺れていた。冷たそうな水の中沈んで行く人間を見つめていた。ぶくぶくと口から自分の身体の空気を出して行く。何が原因で溺れたのか私は知らない。

道を引き返して自分の家に行こうとした。けれど溺れて行く人間が気になった。何故か彼は私と似ている所があると思った。きっとそれは私の思い込みに過ぎない。けれど私の心の中は助けなければ、水から引き上げなければとその一心だった。

水の中を泳ぎ人間を見つけた。冷たくなった人間の手を取り地上へ上げる。人間の息は暫くして引き返した。水混じりの咳を出して意識を戻した。

「起きたか?」

「だ……れ……だ?」

掠れていて怯えた声をしている。

「怯えないでいいよ。私は結。君は?」

「………僕は…龍之介だ。」

「ふぅん?よろしく龍之介。あんた1回私の家に来なよ。」

座っている龍之介に手を差し出す。

「嗚呼。」

私の手を掴み立ち上がる。

「よし、それじゃあ行こうか。」




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河童の恋 隣の佐藤。 @saigyou

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