不慮の事故で、最愛の息子を失ってしまった夫婦。
だが、2人の元に「息子」は帰ってきた。1年程の人生の中で得た記憶、知識、そして両親から受け継いだ遺伝子を基に作られた「ロボット」として。
戻ってきた息子との暮らしの中で少しづつ元気を取り戻していく夫婦。
しかし……。
ロボットや人工知能の研究は、同時に人間という存在を見直すものだ、という言葉を以前テレビで聞いたことがあります。人間と同じ外見を持ちながらも異なる存在との暮らしの中で息子への思い、そして過去への後悔の心が変わっていくきっかけを作ったのは、「ロボットの息子」と言う形を得た鏡そのものだったのかもしれません。
SFという形で様々な事を問いかけてくる、切なさと優しさによって作られた短編作品です。