ゆうちょ銀行
ぼくは田舎者だ。
父親の仕事の都合で、転勤がやたら多かったせいで、義務教育のうちに引越しを3回した。
その場所のどこにも地下鉄なんかは無かったし、若者が全国から集まるような刺激的な場所もランドマークも無かった。
ただ、玄人好みの歴史的建造物とか、通好みの食べ物などはあった。
そんな場所だから、金融機関はゆうちょを使っていた。
なぜって、どんな小さな村や町でもひとつは必ずあるからだ。
地方はクルマ社会だし、少し走れば必ずあって、手数料無料のゆうちょ銀行は田舎者にとってはかなり魅力的なのだ。
上京してしばらく経つが、ゆうちょ銀行は、当たり前のように東京にも必ずある。
だけど、東京はクルマ社会ではない。少なくてもぼくはそうだ。
クルマがあっても乗る機会がなくて、何年か前に売ってしまった。今、クルマは実家にしかない。
東京に限らず、公共交通機関が発達した都市での生活は、駅が重要だろう。
電車なしの生活なんか考えられない。
駅だ。
駅もしくは駅のすぐ近くに、ATMがないと不便なのだ、という事実に気づくのにずいぶん時間がかかった。
現在、ぼくが住んでいるところの最寄り駅、通勤で使う駅、全部にゆうちょのATMがない。
もちろん、家の近くにも少し行けば郵便局があって、そこでお金をおろせばいいのだが、仕事で疲れていたりすると、最寄り駅から自宅まで歩いて、そこからさらに歩いて郵便局なんか行きたくないのだ。
かといって休日にお金だけおろしにいくのもいやだし、そんな毎週外出してるわけでもない。
駅のそばにATMがあるのは、みずほだったり、三菱だったりと、さすがメガバンクといった感じだ。
手続きに時間がかかるのと、郵便局への愛着から、なかなか乗り換えられないでいる。
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