午前中だけの
主人は会社。
子どもは学校。
掃除と洗濯を終えた私は、
クッキーと紅茶をトレイへ乗せて
テレビの電源を入れる。
年中無休。
肩書きもない専業主婦の私だけれど、
午前中だけの特別な顔を持っている。
それはきっと、家族も知らない
もうひとりの私。
リモコンを持ち、
別の世界へ飛び込むように
チャンネルを切り替える。
ここからは、私の時間だ。
「今日はどんな事件なのかしら」
配役を見ただけで、
犯人の目星が付いてしまうのは
残念だけれど、
それはひとつのアドバンテージとして、
ありがたく受け取っておくわ。
聞き慣れたテーマソングと共に、
二時間のサスペンスドラマが幕を開ける。
「さながら、
そうして私は、有能な刑事の顔になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます