信じる心

 サンタクロースからのプレゼント。


 毎年、心待ちにしていた贈り物だけれど、

 真実を知ったのは小学生の時。


 あれほどの衝撃を受けたのは、

 生まれて初めてだった。


 そして、信じる心は大きくひび割れた。

 

 大人たちが形成する社会。

 その一端を垣間見て、

 どす黒い何かが流れ込んでくるのを感じた。


 いつか息子も、

 同じ気持ちを味わうだろうか。

 でも、今だけは全てを忘れて、

 僕は僕が信じるもののため

 戦わなければならない。


 息子がつたない字でしたためた手紙。

 それを畳んでポケットへしまう。


 そうして僕は疲れた体を引きずり、

 玩具屋おもちゃやの張り紙を睨んで、気合いを入れた。


『変身ベルト緊急入荷。

 限定50個、明朝9時より販売』


 今日は長い夜になりそうだ。

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