十二月の物語
待てない俺と、欲しがる女
相手なんて誰でもよかった。
街が幻想的な光景に彩られた頃、
俺の心は深い闇に覆われていた。
ふらりと立ち寄ったバー。
誘い文句を投げれば、
ひとりの女が簡単になびいた。
化粧は濃いが、若くてスタイルもいい。
名前など知る必要も無い。
求め合う欲望と、
それを楽しむ体さえあれば。
待てない俺と、欲しがる女。
互いの利害は一致した。
ベッドの中、街で
俺の中で熱いものが脈動した。
そうして、夜明けは街の喧騒さえも飲み込んだ。
光が幻想を押し流し、本来の姿を
夢のような時間は
目覚めた俺の腕の中にも、
化粧という幻想を失ったひとりの女。
「おまえは誰だ?」
昨夜見た、あの美女さえも、幻か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます