十一月の物語
一番の出し物
息子が通う学校へ行くのは、春の運動会以来だ。
校門には手作りのアーチ。
そこへ、学園祭の文字が躍る。
すれ違う生徒たちは皆、
一様に生き生きとした顔をしていた。
普段は勉強をするだけの
この日だけは魔法をかけられ、遊園地のようだ。
模擬店を開催する息子の教室を覗いた途端、
不意に足が止まった。
「どうしたの?」
「ここで待ってるよ。代わりに買ってきて」
首を傾げた妻が息子へ近づいてゆくと、
案の定、彼は怪訝そうな顔を見せた。
思春期というのは
親の干渉が
付かず離れずが丁度いい。
私にとって一番の出し物は、
模擬店で食べた料理じゃない。
普段は気難しい顔ばかりの彼が、
接客の際に見せていた満面の笑顔だ。
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