ゆびわ


 二つのリングで結ばれた僕ら。

 まるで太陽と月のようだね。


 そこへ当てはめるとしたならきっと、

 明るく快活な君が太陽。

 内気で引っ込み思案な僕が月。


「尻に敷かれているのが、一番楽なんだよ」


 不意に父の顔が浮かんだ。


 それも一理あるだろうけれど、

 やっぱり君には勝てないと思い知るんだ。


 君がいたから。

 その光に照らされて、導かれて、

 ここまで歩いて来ることが出来たのだと思う。


 僕を輝かせているのは、きっと君なんだ。


 でも決して、

 頼りないだなんて思わないで欲しい。

 君の光が弱った時には、

 そっと包んで、癒やす存在になるから。


 このリングはひょっとして、

 指輪でなくて首輪かもしれない。


 そんなことを思い、

 チャペルの前でひとり苦笑する。

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