学園戦隊ジャスティスファイブ!
万十朗
学園戦隊ジャスティスファイブ!
1
ことのはじまりは、親友のこんな一言だった。
「いないんだ。この学園には、ヒーローが」
こいつが唐突なのはいつもの事だが、それが今回いつにも増して突然だった。
放課後の教室、いるのは俺達二人だけ。
こんなおバカな発言を聞いていたのが自分だけだったのが唯一の幸いといえよう。
「何故いない? 学園の平和を守る正義の味方が!?」
何故、と聞かれても。
奴は驚愕の事実にただ一人気付いてしまった者のようにわなわなと震える。
俺はというと、アホの子は放っといてぼちぼち帰るかな、なんて至極まともな事を考えていたのだが。
「!! そうだ!」
また突然、何か思い立ったらしい。どうでもいいけど独り言がでかいぞ。
「いないなら、作ってしまえホトトギス! 俺がヒーローになってやる!!」
「ホトトギスってお前は戦国武将か!?」
思わず俺はつっこんだ。
しかしそれにも構わず、
「そうと決まれば善は急げだ青野! 仲間探しに出発だぁ!」
なんて事を言う親友、赤井翼。
「ちょ、ちょっと待て! まさか俺も……?」
「決まってるだろ! 唯一無二の親友、ブルーこと青野剣!」
その言葉に、俺……青野剣は嫌な予感がした。
「もちろんレッドは俺だから、あと三人見つけないと!」
「レッドにブルー……って、お前、ひょっとして……!」
嫌な予感、ど真ん中に的中。
「学園の平和は俺達、正義の五人組戦隊が守ーーーる!!」
すでに赤井の中では、着々と話が(勝手に)進められていて……
「……仕方ない。気の済むまでやらせておけば、そのうち……」
飽きるだろう、と淡い期待を口にしかけたその時。
「行くぞ! 学園戦隊・ジャスティスファイーーーブ! とうっ!!」
赤井はその場でヒーローっぽくジャンプをした。
「はぁ……」
こうなったらもう、どうしようもない。
長いつきあいなのでその辺も痛い程わかっていた俺は、大きく溜め息をついて……
「待てよ赤井ー……あんま暴走するなよー?」
言っても無駄だろうが。
心なしか重たい足取りで、すでに暴走気味な親友を追いかけるのだった。
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