あやかし事件と物語

序章

ートントン、カラン トントン、カラン

私は今、祖母の家で昔ながらの西陣織をしていた。そしてそれが私の仕事である。ここで働きお金を稼でいるのだ。そうしなければ、みんな住めなくなってしまう。そうならないように二つの織り方をやりながらずっと続けていた。 織っている時は集中しているので、何も考えていない。いや、ただボーッとしているのだ。そんななか襖が開いて閉じられた。誰かわからないがその人(?)は話しかけてきた。『ねぇ。これ全部あなたが織っているの?』その視線の先には、私が織り終わって積み上げられた反物だった。『凄いね。でも、とても〝つかれている〟みたいね。』そうなのだろうか。その声は、私が思っていることに反応した。『そうだよ。ねぇ。私がここから出してあげる。』いやそれは無理だろう。ここからは出れない。『出れるよ。私があなたにとって安全なところに連れて行ってあげる。』そう言うと後ろからゆっくりと

手をまわしてそっと頭を撫でてくれた。『眠っていいよ。』私は、だんだんと意識がとおのいていった。◯●◯●




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