これはテレパシーではない。(仮)

かちこち。

プロローグ。「純粋だった頃」

「どうして嘘をつくの?」

これからも仲良くしようねなどと思ってもないことを言うクラスメイトに小学生の私はそう尋ねた。それが嘘である根拠など無いはずなのだ、本来は。しかし私にとってそれは明確だった。私は文字通り目が良かったのだ。そのクラスメイトが言ったことが嘘であるのは目を見ればわかる。ただ嘘をついた理由など、私には分からなかった。小学二年生のとき、今高二だから九年前のこと。今なら、それが子どもにとっての社交辞令みたいなものだと理解できるだろうに。

「え?嘘じゃないよ、なんでそんなこと言うの」

私は、何故そう頑なに嘘を嘘だと認めないのか分からなかった。

「目を見ればわかる、さくちゃん私のこと嫌いじゃん。」

「っ!そんなことないっ!意味わかんないかよちゃん!」

突然怒り出すさくちゃんに私は驚いた。嘘をついたのはさくちゃんで、私は何故嘘をつくのかと聞いただけ。私は困惑した。何か悪いことをしたのかな?でも周りのクラスメイトたちは、謝りなよと私を責めた。皆が謝りなよと言うなら私は悪いと、そう思うことにした。

「ご、めん。」

「…ずずっ いいよ。かよちゃん」

さくちゃんは泣いていた。理由は分からないが泣かせたならやはり私が悪いんだ。その頃の私は良い意味でも悪い意味でも純粋だった。でももしそうでなくて、小学生の私がもう少し頑固で、この時謝らなかったらどうなっていたかなんて、ひどければ苛められていたかもしれないなんて、そういう事を考えずにはいられなかった。







私の目が普通じゃないことに気づいたのはそのしばらく後。


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