1-2.突然の訪問者
気分が悪い。
強烈な酔いから目が覚めると時計の針は午後2時を指していた。
昨日は高瀬に付き合い居酒屋、キャバクラ、スナックのフルコースだった。家に着いたのは何時かも覚えていない。そもそもどうやって家まで帰ったのかも雅彦は覚えていなかった。
重い身体を起こして台所へと向かう。コップいっぱいに水道水を注ぎ込み、喉へと流し込んだ。頭が痛い。
でもまぁいい。亜美と結婚したら昨晩のように遅くまで友と呑みに付き合えるのも限られてくるだろう。頭痛は強烈だったが不思議と心地の良い体調不良だ。
頭と体をスッキリさせるためにも近所の公園にでもジョギングに行くのもいいかもしれない。雅彦はクローゼットから長い間出番が無かったジャージとランニングシャツを取り出した。
ピンポーン。
その時、訪問者を告げるチャイムが部屋中に鳴り響いた。
雅彦は玄関まで歩き、ドアの覗き窓から訪問者を確認した。スーツ姿の男が二人立っている。誰だろうか。この家を訪ねるのは基本的には宅配業者だけだ。土曜日にスーツ姿で二人もやって来るのは訪問販売の類でもないだろう。
雅彦はチェーンロックをかけたままドアを半開きにした。
「はい」
「失礼ですが三浦雅彦さんでよろしいでしょうか?」
「そうですが、何か?」
「私たちは兵庫県警のものです」
「警察・・・ですか?」
別にやましいこともないのに、警察と聞いただけで一気に緊張感が雅彦の身体中を駆け巡った。
「はい。私は兵庫県警刑事部捜査一課の
「どういったご用件でしょうか?」
「佐藤亜美さんの交際相手でよろしいでしょうか?」
「そうですが、それが何か?」
「落ち着いて聞いてください」
そして並木と名乗った男の言葉に雅彦は衝撃を受けた。
「佐藤亜美さんが、沖縄で死亡しました」
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