第367話 実戦的な昼食作り
一方こちらは鍋と水を用意。
本日の昼食はスープスパゲティの予定だ。
スパゲティとベーコンをやや少なめの湯で茹で、そのままインスタントのスープの素をかけて、食べる時に上に溶けるチーズを載せるだけ。
凝った料理を作ってもいいけれど、今回はあくまで登山のシミュレーション。
だから実際に使えるメニューにしたわけだ。
プレヒートのアルコールの炎が弱くなってきた所で亜里砂さんがバルブを捻って、ライターの炎を近づける。
ボッと音がして火がついた。
「火を付ける時に炎が大きくなるから、炎が小さいライターだと怖いのだ」
「それでそんなライターを使っている訳か」
「父に言わせると、このライターで直接プレヒートする技もあるそうなのだ。実際固形燃料は売っていない場所も多いので、ガソリン直接とかこのバーナーライターでプレヒートをする時の方が多かったと言っていたのだ」
なるほど、そういった色々な時に使えるライターという訳か。
確かにタバコ用には炎が出すぎだよな。
「後はお湯を沸かしてスパゲティを入れるだけだね」
彩香さんがそう言う。
思った以上に簡単だ。
「ただキャンプ場へ行ってキャンプをするだけなら多分、今の私達でも出来るのですよ。ただ登山を計画してコースを考え、難易度等を判断して装備を決めて、天気等も判断して安全に行くとなるとまだまだ経験が必要なのです」
うん、未亜さんの言うことは正しい。
「そうだね。その辺は先生や先輩に頼りっぱなしだし」
彩香さんもそう思っているようだ。
「でも入学して野遊び部に入った当初と比べれば、進歩はしていると思うのですよ」
確かに。
こうやってキャンプする事が一通り出来るようになったし。
「確かに入った頃は体力も全然無かったしね」
「夏休みの夜の散歩の時も、悠が心配して電車の時間とか色々考えていたのだ。でも今なら何となく歩き通せるような気もするのだ」
そう言えばそんな事もあったな。
懐かしいなと思う。
お湯が沸騰したのでスパゲティを半分に折りながら投入。
半分に折るのはこの鍋だと長いスパゲティが入らないため。
更にベーコンをナイフで切りながら入れる。
ちなみにこの登山用の軽くて3つ重ねて仕舞える鍋は川俣先輩の個人所有物だ。
今回は雨具と食器以外の装備はほぼ全部自分達の持ち物。
テントもマットも寝袋もバーナーも鍋もだ。
まあ1人で何とか全装備が揃うのは亜里砂さんだけで、他は色々だけれども。
僕もザックと靴の次は寝袋かな、バーナーかな。
食器は安い奴なら余裕で買えるな。
ガスバーナーも値段的にそれほど高くも無いしな。
それともやっぱり寝袋かな。
カバーはちゃんとしたのは高価だけれども。
でも雨具も欲しいし、装備が揃うのはまだまだ先という感じだな。
「そろそろスパゲティ、大丈夫かな」
彩香さんが箸でかき混ぜて確認する。
「大丈夫みたいだからスープの素を入れるよ」
コーンやほうれん草の乾燥野菜が入った便利なスープの素を人数分入れる。
かき混ぜたら完成だ。
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